ゴリゴリ感想を書こう！
嘘ツキャーは作品の中では神である。「ルールは全てが君の思うがまま」だ。
緊急ニュースも流し放題だ。
例えば、「緊急ニュース」という題の嘘を作ってみよう。
まずは内容だ。ありがちだが、政治討論会の中で他局の恋愛ドラマの内容が
緊急ニュースとして流れる、という設定でいこう。
政治討論会が白熱する中、急にアラーム音が鳴り、恋愛ドラマの結果が
テロップで挿入される。
ここで終わったら平凡な作品だ。さらに「リズム」を導入してみよう。
政治討論会の内容と緊急ニュース（ドラマ）の内容がタイミング的にシンクロ
し始める。議論が白熱化するのと同時に、ドラマがクライマックスに達し頻繁
に緊急ニュースが流れ始める。意味的にもシンクロしはじめると
なおよい。
ここでリズムにアクセントを導入する。フッと「おかあさんといっしょ」の
経過を流してもよい。築地神谷商店の売上締め結果を流してもよいだろう。
カノンはどうだろう。政治評論家が恋愛について議論を始め、ドラマは政治
がらみの展開を見せ始めるのだ。
しまった、面白そうじゃないか。ちぇ、次の嘘競演までこのネタとって
おくべきだった。
それはともかく、嘘作りには作曲に似た何かがある。
さて、壇つな氏の一連の作品「〜の時の民間療法」をもう一度読んでみよう。
通しで読んでみると、個々の発言の中の個々の健康法、一連の発言の中の個々
発言、というそれぞれの階層で心地よい「リズム」を刻んでいることがわかる
はずだ。
詳述は避けるが、彼の作品の多くは敏感なリズムの上になりたっているように
思える。少なくとも、それをコントロールしようとする意志が垣間見える。
彼は、コントロールという名のゲームが好きだ。
「ロジックの破綻した無茶苦茶なことを書いているのにスッと読めてしまう」
壇つな作品の恐ろしいところだ。
だが、嘘ではない彼の普通の文章を読んだことのある人は、それもまた
「スッと読めてしまう」ことに気付くだろう。
文章力、そういってしまえばそれまでだが、その一つの構成要素としてリズ
ム感があるように思う。意図して身につけることの難しい技術だが、彼の
作品からは卓越したリズム感を感じる。
笑いにおいて繰り返しという技法はポピュラーかもしれない。だが、それを
使いこなすことは難しい。
笑いのリズム、確かにそれは存在する。それは「ネタの的確な選択と緻密
な構成」とは異質なものだが、重要な要素の一つであることには違いない。
私は、伏字や当て字を使うことをよしとしない。
かつて、ＮＩＦＴＹに嘘を書き始めたころ、書いていいことと悪いことの
ガイドラインがわからず、北朝鮮を伏せ字にしたことがあった。
今でも深夜などにこのことを思い出し、後悔のあまり布団の中で意味も
なくローキックをくり返す私だ。
だが、「なぜ伏字や当て字が悪いか」を説明することは難しい。
昔、子供電話相談室に「演歌はなぜ渋いの？」という質問が寄せられた。
聞く子供も子供だが、ちゃんと答える回答者もすごい。まあ、この質問と
同種の難しさが「なぜ伏字や当て字が悪いか」にはあるわけだ。
「伏字や当て字がなぜいけないか」あえて答えるならば、それは、嘘のリズム
を崩してしまうことにあると思う。
いや、それでは答えにならない。ある意味、「うまくリズムを崩す」ことが
笑いの要素の一つだといってよいからだ。
「無意味にうすら寒くリズムを崩してしまう」こう表現してはどうだろうか？
「ＰＰＰＰ」緊急ニュースのシグナル音がＴＶから流れる。私は、この音を
聞くとすぐさまＴＶの前に駆けつける。
だがそのニュースが
「新潟知事選、畑山（自民）当選確実」
であったときの落胆といったらない。
ＴＶの緊急ニュースは、番組のリズムを破壊し異空間を開く暴力的な何か
である。だからこそ、緊急ニュースを流す時ブラウン管は特別なオーラを
発する。
そして、お笑いには緊急ニュースに似た何かがある。
「伏字や当て字は、知事選の結果を緊急ニュースで流すようなものだ」
うーん何か無理があるような気がするが、これで納得しておくれよ。
さて、皆様ご存知のことと思うが、今回の嘘競演は嘘特訓と共同開催と
いうことで、ＷＥＢ上でも感想用の掲示板が設けられている。
この掲示板において「ネタの的確な選択と緻密な構成はお笑いか」という
問題提起をさせていただいた。その関係上、今回の感想は野暮ったい嘘論
を兼ねてのモノとなっている。ご容赦願いたい。
まずは、今回の嘘競演ベスト作品としてたむけえ氏の「おもいっきりＴＶ
台本（みの版）」を推挙する。
他にも素晴らしい作品は多かったが、今回、一番笑わせていただいたのが
この作品だった。
＞（フリップ）
＞（めくる）
＞（めくる）
＞（めくる）
＞（ゲストにふる）
＞（ゲストにふる）
＞（ゲストの天然ボケをいなして先生に聞く）
＞（めくる）
＞（先生の長話しを中断させながらフリップ）
＞（めくる）
＞（めくる）
＞（めくる）
ここに「ネタの的確な選択と緻密な構成」はあるだろうか？
ネタの選択としては、「思いっきりテレビ」にはちと辛いものがある。
無難ではあるがネタだけで読むものをねじ伏せることは難しい。
「ねたの重力」が足りないのだ。
構成はどうだろう。台本としながらも最も台本的な部分が動作の描写に
よって省かれ、逆にアドリブのみが明示されるという逆説的な構成は
面白い。珍プレー好プレーのナレーションを全てアドリブで当てるという、
みのもんたのヤマっ気の多さを的確になぞっている。
だが、私が笑ってしまったのは
＞（めくる）（めくる）（めくる）
あるいは
＞（テレカ）（テレカ）（テレカ）
というくり返しの部分。このくり返しのリズムが、私をくすぐるのだ
>これを発展させた表現はWEBでかなりの人気を博しています。
>「あなたのキャッチコピー」や「伝説」です。
うーん，なるほど。そう言われて思い出すのは「どこでもいっしょ」なん
ですが，あれなんかデタラメ系の笑いでいい線行ってる好例じゃないで
しょうか。そういや壇つなさんの嘘の面白さと共通する部分がなくもな
い感じもします。
実は私，実物見たこともなくて，「こんな面白いのがあったよ」という
のをＷｅｂサイトとかで紹介してるのだけが情報源なんで大ボケこいて
るかもしれませんが，あれって，適当に単語を組み合わせるだけだとか
なり低いであろう，「面白い文が出来る確率」を，自分で単語を入力さ
せることによってかなり高めることに成功してますよね。自分が入力し
たものだから当然知ってるものが出てくる。ところがそれが思いがけな
いところに思いがけないやり方で使われるから，そのユーザーにとって
は一番面白い確率が高い。
ということは少なくともここに一つは「デタラメの中のルール」がある
ように思いますね。結果として，限定された形ではあれ，単なる「乱数
とアルゴリズム」を脱却することに成功した例の一つ（実は乱数とアル
ゴリズムであるんでしょうが）じゃないでしょうか。
うわー、なぜか私が話題になっていますね。不思議です。
》「解説できるのもある。解説できないのもある。この距離感が面白い」って感じなのじゃないでしょうか。
作る際のネタばらしをしますと、理詰めで作るときと、何も考えずに書いているときがあります。
考えずに書いているときは、自分でもなにが面白いのかさっぱりわからないです。
（いや、そもそも面白いのかどうかわからない）
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さて、ちと「破天荒さ」もしくは「デタラメ」について思うことをつらつらと書いてみます。
「どこで」「だれが」「なにをした」をカードに書いて
シャッフルして適当につなぎ合わせる遊びがありますよね。
あれがデタラメのおかしさの基本だと思うのです。
例：「福永法源が八景島シーパラダイスでアカデミー賞11部門を制覇した。」
これを発展させた表現はWEBでかなりの人気を博しています。
「あなたのキャッチコピー」や「伝説」です。
これらは確かに面白いし、人に勧めてみたくなります。
しかし、これらは所詮、乱数とアルゴリズムの世界。
これらの「デタラメ」を大きく上回って笑える「デタラメ」を提供するのが
我々嘘ツキャーの使命なのではないかと思います。
さて、「デタラメ」にもいろいろあります。
単語レベルのデタラメもあれば、論理のデタラメもある。
おそらくはテキストコードレベルのデタラメも存在し、
これがもっとも微細で高度なデタラメと思われるのですが
「[^,$fa{&*s0J}O}{0[_(#0}{」で爆笑できるほど人類が成長していないのもまた事実でしょう。
さて、これを「デタラメ」とくくってしまうとわかりやすいのですが
「デタラメ」の質を的確に言い表そうとすると困難を極めます。
しかし、それを明確にすることが「デタラメのお笑い」を論ずる上で必要なのだと思います。
その意味で詰めにくいさんの「やゆよ氏の破天荒と壇つなの破天荒の質の違い」というのは
実に意義深い問いだと思うのです。
果たして、私とやゆよさんの「破天荒さ」は何が異なるのか？
両者の特質はどこにあるのか？
やゆよさんの提供する「破天荒な事実」と私の文章を見比べてじっくり考えてみました。
そして、一つの事実に気付きました。
それは「私(壇つな)の方が圧倒的に食べ物が出てくる確率が高い」ということです。
しかし、この事実は何も言い表してはおりません。
唐突に終わります。
効き目がないどころか危険ですね。壇つなさんはさしずめ鍼治療師ですよ。
え、こんなところに針刺すの？でも効く〜、てな印象がいつもあります。
ちゃんとツボを心得ているからできることだと思います。
蒸し返して悪いのだけれど、私のネタが、すべての個所で「ここはこういう風だからおも
しろい（と作者は思っている）」と解説できるとすれば、壇つなさんのは「解説できるのも
ある。解説できないのもある。この距離感が面白い」って感じなのじゃないでしょうか。
いや読み返してみると、けっこう手堅く笑わされている個所もあると気がついたもので。
壇つなさんのネタを考えるときには、一見壇つなさんに似ているのだけれど、全然おもしろく
ないネタを読むのが参考になりますね。当たり前の話かもしれませんが、壇つなさんのネタ
やらサイトを読んで、「あ、これならおれにも」と勘違いする人は、けっこういるように
思います。いや、誰がそうだって心あたりがあるわけじゃありません。
半端なボケ方をしてみました壇つなです。
しかし、必ず「アーガイル」になるのは永遠の謎です。
ウディアレンでもそうですし、日本のアマチュアフィルムなんかでもそうでした。
さて、標題にありますように、作品別の投票は12/10いっぱいです。
いまいち、投票数が伸び悩んでいるので投票した方も投票していない方も
是非投票して見て下さい。
私など面白いと思った作品にはまよわず入れたので
全部で7〜8票程度いれてしまいました。
それでもオッケーです。たぶん。
＞むねみち様
ご参加ありがとうございます。
千里の嘘も一発言から、みんな、そうやって泥沼にはまっていってしまうのです。
ご自愛下され。
長々と続けて申し訳ありませんが、これで最後です。
(以前の繰り返しになりますが）ゲルーシさんの仰る、
「靴下＝リクツ＝究極的な嘘」説にはかなり無理があると思います。
そもそも「靴下はかずに嘘(ひいては論理構成）を構築する」という
のが独善的な前提であり、これが議論を実り少ないものにしているのではないでしょうか。
「靴下をはいていた方が嘘を書きやすい」と言う点では
すでに意見の一致が見られているはずです。
(いっそのことパンツをはかない方が良い嘘が書けるはず。という詰めさんの意見はやや性急ですが^^;)
また、「靴下（場合によっては靴そのもの)をはいていない前提」
を振りかざすゲルーシさんが、床に画鋲が落ちていた場合のことが考慮に入れていないのは
見苦しいまでの片手落ちと言えましょう。実際問題、床に画鋲が
落ちていることは稀ですが、あり得ない話ではありません。
（また、この点に関する指摘は何度もあったはずです）
そして、これは、ゲルーシさんだけではなく皆さんへのお願いなのですが
やはり、論点は「何故お笑いにおいて靴下がネタに使われるとき、
アーガイルしか使われないのか？」に絞るべきであると思います。
この点の、切り口に関しては、議論の序盤で、
光さんが仰った、「靴下にはイーブンボーダーも天竺編みもあるにもかかわらず。」
＾＾
という意見が手がかりになるのではないかと思います。
どうも意見が双方、混乱しているようですので、
簡単にまとめてみました。では。
今回始めて嘘特訓の方に投稿させて頂きました。
さすがというか改めて常連の方々を始めとした
投稿者のネタの豊富さには驚きました。
自分は嘘屋本舗の方でもそれほど投稿はしたことが無かったので、
迷いましたが、投稿させてもらいました。
笑わせてもらった投稿はいくつもありますが
的外れな論評とかしてしまいそうなんで自分が笑った投稿にこっそり投票しておきます。
今後ともよろしくお願いします。