「オレはほんとうに、この世とはおさらばだ……。いいか、本当に死ぬんだぞ……。う、ウソじゃない。死んだら最後、い、生き返ることなんてないんだ……。だから、最後に病室に集まってくれたみんなにお願いだ。ど、どうか、水はやめてほしい。こ、粉をかけられるのも、もうたくさんだ。なんだよ植木、こんなときにニヤニヤしやがって……、ま、まさか、その風呂敷包みのなかは、い、一斗缶……（ガクッ）」

俳優 ハナ肇さん 1993年9月10日死去　享年63歳

訃報◇野崎信一氏(87) 老衰のため山梨県甲府市郊外の医療法人清農会倹誠病院にて26日午後１時45分死去。

　野崎氏は青森県弘前市に生まれ、厳格で倹約家の両親によって育てられた。中学校を卒業後、東京の機械メーカーに入社。「乾いた雑巾をまた絞る」と言われるほどのコスト削減方法を次々と考案する一方、夜学に通って学位を取得。24歳で独立し、「努力、倹約、誠実」を社是に掲げる野崎製作所（現ノザキ）を設立。水道代節約用品、電気代節約デバイス、倹約用家計簿のトップ・メーカーに育てた。

　企業経営の傍ら、1970年代からは市民運動にも積極的に参画、風呂の残り湯再利用運動を世界的な規模で推進したことでも知られる。匿名で慈善活動を行っていたとも言われる。晩年は山梨県の山荘で質素な生活を送り、まれに公の場に姿を見せては、大量生産・大量消費型社会に警鐘を鳴らし続けた。

　なお、故人の遺志により葬儀は行われない。

* * *

訃報◇野崎信二氏(87) 老衰のため東京銀座のクラブ「ゴールド」で、26日午後１1時45分死去。

　野崎信二氏は同日死去した野崎信一氏のシャム双生児の弟。兄弟は首から下を共有していたものの性格は正反対だった。信二氏は派手好きで浪費癖があり人助けが大嫌いで女たらしで手癖が悪く怠け者だったが、常に信一氏の陰に隠れ、その経歴はほとんど知られていない。

　26日には昼すぎに兄の死を確認してから病院を抜けだし、クルーザーやマンションを次々とキャッシュで購入。新宿の風俗店をはしごしてから銀座のクラブに乗り込んで豪遊している最中に意識を失い、そのまま死亡した。

　なお、故人の遺志により葬儀ではスターマイン１万発が打ち上げられる。