隠匿物探索における多現象同時記憶装置及び特定脳波検出機器の実用性についての検証実験

実験の意義

１．多現象同時記憶装置（ポリグラフ）は、血圧、心拍、呼吸、皮膚抵抗などの情報を電
気信号として計測し、記録する装置である。嘘をつく時の心理的な緊張による、これ
らの数値の変化を読み取り、被験者が嘘をついているか否かを判別する。

２．特定脳波検出機器は、嘘をついたときに検出される特定脳波信号を検出し被験者が嘘
をついているか否かを判別する。

３．これらの装置は、犯罪捜査において被疑者、参考人などの供述、証言の信憑性を問う、
判断材料の一つとして用いられている。

４．今回の実験は、被験者の心裡の判定に留まっているこれらの装置の応用を、物品（主
に過去に隠匿された物）の探索にまで応用できるかを、検証するものである。

実験日　１９９８年某月某日

場所　　青森県某所

実験者　東京大学歴史学教授（日本史）　          山木太作

被験者　                                        佐藤ミチ（仮名）

記録者　弘前大学博士課程（生理心理学専攻）　    吉元建

技師　　警視庁科学捜査研究所　                  川崎明

13:00　 佐藤　読経開始

13:30　 佐藤　引き続き読経

13:42　 佐藤　トランス状態に入る

15:05　 佐藤　読経を中断

        山木　呼びかけ「あなたは小栗上野介殿（注）ですか？」

        佐藤「はい」

        本人確認終了

注記：小栗上野介

江戸末期の幕臣。勘定奉行、軍艦奉行などを歴任。徳川埋蔵金に関わった重要な人物の
一人とも言われる。小栗忠順（ただまさ）。

15:14   暫くの雑談の後、佐藤へ２装置装着

        佐藤（小栗）への実験説明

        川崎「これからあなたにいくつかの質問を致しますが、全て『いいえ』でお答えください」

        佐藤（小栗）「なぜじゃ」

        川崎「一種の言葉遊びと考えていただければよろしいかと」

        佐藤（小栗）「はい」

15:18   実験開始（以下質問者山木、回答者佐藤（小栗））

        「徳川埋蔵金を知っているか」「いいえ（反応有り）」

        「それは今、江戸にあるか」「いいえ（反応無し）」

        「赤城山か」「いいえ（反応無し）」

        「日光か」「いいえ（反応無し）」

        （中略）

        「それは今、海中に沈められているか」「いいえ（反応無し）」

15:42   休憩　場所が特定されないので、質問の内容を検討する。

16:03   実験再開（以下質問者山木、回答者佐藤（小栗））

        「あなたは徳川埋蔵金を隠したか」「いいえ（反応無し）」

        「あなたは徳川埋蔵金を隠すのを指示したか」「いいえ（反応無し）」

        「あなたはいま、徳川埋蔵金がどこにあるかを知っているか」「いいえ（反応無し）」

16:13   実験中断　反応が無い状態が続くため、装置の不具合が無いかを確認。

16:19   装置のテスト

        川崎「あなたは小栗忠順を知っているか」

        佐藤「いいえ（反応無し）」

16:22   再び装置の不具合を点検確認

16:30   装置のテスト

        川崎「あなたが今行っているイタコの降霊術、いわゆる口寄せはインチキか」

        佐藤「いいえ（反応有り）」

16:32   実験終了