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[30] ナガタチョーの薔薇 第2巻 Donald Mac 2006/09/24(Sun) 23:11 [URL]
市街地は次第に殺気立ちはじめていた。
行革のシュプレヒコールがあちこちで沸き起こり、政府与党への風当たりは強くなる中、ジュンイチロとヘイゾが衛兵隊兵舎へと向かっている。
暴徒が投げつける石や棒の一片がヘイゾの頭に当たった。
ジュンイチロは気の遠くなるヘイゾの手綱を取った。

満月下。
2人は暴徒をかわすため、できるだけひとけの少ない兵舎への道を選び、馬をひきながら歩いた。
ヘイゾの傷を労う。
「大丈夫か、ヘイゾ、頭の傷は?」
「ああ、大丈夫だ。どうという事はない。」
「よくも今まで私をだまし続けていたな。」
「え?」
「右目のことだ。ラソンヌ先生に聞いた。もうほとんど見えないのだろう?」
「…」
「やはり、もう一度官邸へ戻ろう。
 明日の出動におまえを連れて行くわけにはいかない。
 おまえを返し、宿舎へは私だけ戻る。
 そうしてくれ、ヘイゾ。おまえに万が一のことがあってはいけない。」
「俺は行くよ、ジュンイチロ。
 今までもそうだったが、これからもそうだ。
 俺はいつも、おまえと共にある。」
「ヘイゾ、私はかつてジョンイルを愛した。
 おまえに愛されているのを知りながらも、ジョンイルを愛した。
 そんな私でもなお愛してくれるのか?」
「すべてを。命ある限り。」

ジュンイチロの瞳にみるみるうちに、涙が溢れる。
ジュンイチロはヘイゾの胸に顔を埋めた。
「ああ…ヘイゾ。ヘイゾ。…愛しています。私も。心から…。」
「わかっていたよ、そんな事は。
 もう何年も前から。
 いや、この世に生を受ける前から。」
そして唇に唇が重ねられ、二人の吐息が一つになった。
ヘイゾは胸の中に抱え込むようにジュンイチロを抱きしめた。
「ヘイゾ・タケナカ。
 あなたがいれば、私は生きられる。
 いえ。
 生きていきたい。」
今、ジュンイチロはヘイゾ・タケナカの妻となった。

過去、青春、横須賀市…自分を包んでいた優しい衣を次々に脱ぎ捨て、わが信じる道を進む決心をし今日まで進んできたジュンイチロは、唯一手放せないものを、今宵しっかりと抱きしめ“もう迷って離したりしない”と心に決めた。
あまりに近すぎ、あまりに自分のものでありすぎ、それがどんなに大切かものか、気づくのに時間のかかってしまった、本当の愛。

ジュンイチロはヘイゾに、ひとりの人間として向き合い、愛を告げる。
思わぬ言葉に驚き、思わずジュンイチロの前に跪くヘイゾ。
なんの地位も力もない自分のものになってくれるのかと問う。
ジュンイチロは、ヘイゾの優しさを、愛として受け止められたことを素直に喜ぶ。
長い長い年月の末、二人は結ばれた。
ただ一夜限り。

◇  ◇  ◇

時は夜から朝へと変わろうとしていた。
2人の行く手に、明けの明星が輝きを振りまいている。
間もなく明ける1789年7月13日、朝。
ジュンイチロとヘイゾは、衛兵隊兵舎に向け再びセグウェイを疾走させる。
この日がジュンイチロの心を支え続けた男、ヘイゾ・タケナカのあまりに長くあまりに短い最後の日となろうとは。

「諸君。
 我が隊は午前8時チュイルリー宮広場へと進撃の命が下っている。
 目的は武装した民衆への牽制であるが、暴動となった場合は民衆に発砲、これを鎮圧せねばならない。
 民衆の中には、おそらく諸君の親か兄弟がいることと思う。
 たとえ私が発砲を命じても、君たちは引き金をひかないだろう。それが当然だと思う。
 私の考えを言おう。
 いや、私は自分の取るべき道を述べる。
 全く個人的にだ。
 私は今この場で、諸君の隊長であることを、やめる。
 なぜなら私の愛する人・私の信ずる人が、諸君と同じように民衆に対し発砲をしないと思うからだ。
 私はその人に従おうと思う。
 その人が民衆とともに戦うというならば、私は、戦う。
 諸君。
 私はヘイゾ・タケナカの妻となった。
 私は夫の信ずる道をともに歩く妻となれた。」

ヘイゾへ向きなおり、ジュンイチロは言葉を続けた。
「ヘイゾ。命じてくれ。
 ヘイゾの行く道は、私の信ずる道だ。」
アソータロのがさつな笑い声がすべてを答えた。
「がはははは。
 隊長!
 あんたぁ隊長をやめる必要なんかねぇよ。
 あんたが来る前に、みんなで相談ぶってた。
 もし戦いになったら、俺たちはその場で衛兵隊をやめ行政改革に身を投じようじゃねえかってね。
 だが、あんたがその気ならその必要はねえ。
 俺たちはあんたの指揮の下で市民軍とともに戦う。
 みんなばらばらになるより、その方がずっと力になる。」
「アソータロの言うとおりだよ。ジュンイチロ。きみは、きみの信じる道を行くべきだ。」
一同に大きな勝鬨があがる。

衛兵隊はジュンイチロを先頭にチュイルリー宮へ向け出発。
「隊長!ジュンイチロ隊長!
 軍隊がついに民衆に発砲を始めました。市街地はもはや戦場です。軍は武器を持たぬ者にも無差別に攻撃を繰り返し、チュイルリー広場は血の海です!」
「ナオト・カン連隊、チュイルリー広場へ追撃行軍開始!」
屋根の上の斥候が連隊の接近を報告する。
ジュンイチロの進攻命令が発せられた。
「全員騎乗!
 先制攻撃を仕掛け、彼らの進撃をくい止める。」
「全体、前へ!」
「いいな、十分に攪乱し、敵の注意を引きつけた後、広場の反対方向に反走。
 我々を追わせ、ナオト・カン連隊を広場から遠ざける。
 全隊、一気に側面へ突っ込め!
 目標!ナオト・カン連隊側面!」
ジュンイチロは先陣を切って隊列を切り開く。
その時。
ヘイゾの右目が霞かかる。
敵隊の隊員は銃の照準をヘイゾに合わせていた。いち早くそれに気がついたアソータロが隊員を狙撃する。
「ヘイゾ!どうした!何をぼけっとしてる!」
「アソータロ、だめだ! 俺の目が…ぼやけるだけじゃない!どんどん暗くなってきた!
 くそ!この大事な時に…」
「こん畜生!ヘイゾ!頭を上げるんじゃねえぞ!」

15時10分。
軍隊と民衆との戦闘は至る所で行われ、エスカレート。
同時に連隊本部から出された“元”衛兵隊への討伐命令はすでに全軍へ連絡済だった。
待ち伏せされているとも知らず、ジュンイチロたちは全隊進攻を続ける。
煙幕の向こうに別部隊を認めジュンイチロは隊を制止するが、遅かった。
銃群が火を噴き、隊員の犠牲が続く。
ジュンイチロは退却命令を出し方向転換するも、別の部隊が待ち伏せていた。さらに数名の隊員が敢えなく銃弾に倒れた。

17時45分。
部隊の側面を駆け抜け追走を振り切ろうとするジュンイチロ隊。
ジュンイチロが我が身へ銃口を向けていた銃兵に気づき銃撃、だが敵の弾丸はジュンイチロの後方のヘイゾの胸を貫いた。
「隊長!ヘイゾが被弾!」

振り向くとヘイゾの軍服の胸がみるみるうち血色に広がっている。
ヘイゾはジュンイチロへわずかに近寄ろうとし、力つき騎乗に伏せた。
ジュンイチロは馬を急停止させ、ヘイゾの名を幾度も咆哮する。
後続のアソータロが素早くヘイゾを自騎へ移し、ジュンイチロへ全速前進を促す。
重傷のヘイゾを乗せたアソータロを守りながら衛兵隊一丸は包囲網を強行突破。ヘイゾを死なせてはならない。血を吹くヘイゾの胸の傷はジュンイチロを逆上させていた。
降り注ぐ銃弾の中をジュンイチロが疾走する。
ヘイゾを助けるためならば、もう恐いものなど何もない。

追走を振り切り、市民軍アジトへジュンイチロ隊が三々五々帰還。
「すまないが急いで医者を!」
「しっかりしろ、ヘイゾ。
 もう安心だ、すぐに医者が来る。」
教会の鐘が鳴り響きはじめた。
「ひ、陽が…陽が沈むのか?ジュンイチロ…」
「うん。今日の戦いは終わった。もう銃声ひとつしないだろう?」
「鳩がねぐらに帰る羽音が、き、聞こえる…」
「うん。うん。」
ヘイゾが差し出した手をジュンイチロは両手で握り締めた。失われつつある命の温かさにしがみつくジュンイチロの涙は、止まらない。
「どうした?ジュンイチロ。
 何を泣いている?」
「ヘイゾ。式をあげてほしい。 この戦いが終わったら、私を連れ靖国へ行こう。
 そして結婚式をあげてほしい。
 そして神の前で、私を妻にすると誓ってほしい。」
「もちろんだ…そうするつもりだよ、ジュンイチロ…そうするつもりさ。
 でも…ジュンイチロ。
 靖国神社は、神様を、奉ってないん…だ。
 な、何を泣く?なぜ泣くんだ?俺はもう…駄目なのか…?」
「何を馬鹿なことを!ヘイゾ!」
「そうだね。そうだ…そんな筈はない。
 すべてはこれから始まるんだから…俺とおまえの愛も…新しい時代の夜明けも。
 すべてがこれからなんだもの…こんな時に…俺が死ねるはずがない。死んで…たまるか…も、もらえるうちに…年金もらわなきゃな」
「いつか選挙運動へ行った時、2人で日の出を見た…あの日の出をもう一度見よう、ヘイゾ。
 あのすばらしかった朝日を…2人で。
 2人で生まれてきて、出会って…そして生きて本当によかったと思いながら!」
ヘイゾは絶命していた。
その事実を信じたくないジュンイチロは愛する者の名を呼び続ける。
「ヘイゾ…ヘイゾ!ヘイゾ!」
立ちすくむジュンイチロの背後の空を流星がひとつ、またひとつとまるで涙のような尾をひき落ちる。
「ヘイゾ!私をおいていくのか!」

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[29] ナガタチョーの薔薇 第1巻 Donald Mac 2006/09/24(Sun) 23:11 [URL]
ジュンイチロが素知らぬ顔で飲み干したばかりのブランデーグラスをテーブルに置くと、その手首をいきなりジョンイルが握った。
そう。
舞踏会で転びかけたジュンイチロの手首を握り抱き寄せた、あの時のように。
驚いたジュンイチロは咄嗟につかまれた腕を振り払う。
「…やはりジュンイチロ、君だったのか――あの舞踏会の、剛毛なる獅子は。どんなに隠そうとしても、その、俊敏な身のこなしは隠しようがない。」
ジュンイチロは憮然とジョンイルから顔をそらし、足早に控間へ向かう。あとを追うジョンイル。
顔を見ようともしないジュンイチロの背中へ、ジョンイルが語りかけた。
「ジュンイチロ。はじめて会ったときから、君の気持ちがわかっていたら」
「何も言うな!
 私に、…私に、何も言ってはいけない!
 私の気持ちはもうとっくに整理がついているんだ!
 …ジョンイル…この世に愛はふたつある。
 喜びの愛と。
 そして…」
ひと呼吸をおき、かみしめるようにジュンイチロは言葉をつなぐ。
「そして…苦しみの愛だ。」

「いいや、ジュンイチロ。」
だがジョンイルはジュンイチロを否定した。
「この世の愛はたったひとつ。苦しみの愛だけだ。喜びは、組むものだ。」
「いつかは…。
 いつかは、こんな日が来ると思っていた。これで終わりだ、ジョンイル。…お別れです。」

◇  ◇  ◇

ジュンイチロの部屋からプレスリーのロックンロールのリズムが、かすかに流れ出る。
ヘイゾは知っている。何かとても気の塞ぐことがあると、彼が決まってプレスリーをかきならすことを。
ヘイゾは気を回し、普段ならば官邸職員に運ばせるティーセットだが、自らジュンイチロの私室へ運ぶことにした。
何か気休めとなれるだろうか?ヘイゾは自問しながら、ジュンイチロの部屋へティーセットを運んだ。
「ここに置いておくよ。」

ジュンイチロはプレスリーを弾く手を休めずありがとうと礼を言った。
「じゃ、お休み。ジュンイチロ。」
「ヘイゾ」部屋を出ようとするヘイゾへを、ジュンイチロはとどめた。プレスリーを奏でる音も止まる。
「より男として生きるためには、いつまでもおまえの力を借りるわけにはいかない。
 まだどの政策へ向かうと決まったわけではないが、私が今の職を辞めたら、もう私の供はしなくてもよい。
 自分の好きなようにしてくれ。
 私はまず、1人で生きることから、始めてみたい。
 …では、お休み。」
ヘイゾはジュンイチロの正面にしっかりと向きなおり、こう返した。
「ジュンイチロ、これだけは言っておきたい。
 赤く咲いても白く咲いても、バラはバラだ。
 バラは、ライラックになれるはずがない。」
「ヘイゾ!それは政治屋は、所詮、政治屋だということか!」
ジュンイチロは踵を床に突き込まんばかりの勢いでヘイゾに喰ってかかる。
「答えろ!ヘイゾ!答えろ!その答えによっては」
ジュンイチロはヘイゾの胸ぐらをつかんだ。が、ヘイゾは自分の襟を掴んだジュンイチロの手首をいともたやすく逆に握り返す。
「…は、離せ…ヘイゾ!」
思いもよらぬヘイゾの力強い反撃にジュンイチロが驚く間も言葉を継ぐ間もなく、次の瞬間、強引に唇を奪われた。
手首を握られたまま、彼は寝台に押し倒される。
ヘイゾの体の重味がそのまま自分の全身に感じられる。
ジュンイチロは恐怖を感じていた。
「離せ!ヘイゾ、人を呼ぶぞ!」
ヘイゾが、力任せにジュンイチロのクール・ビズを引き裂く。あらわになる肌。
「…それで…?
 …それで、私をどうしようというのだ…?…ヘイゾ?」
「すまなかった。
 もう二度とこんなことはしないと神にかけて誓おう。」
ヘイゾはあらわになったジュンイチロの肩にシーツを放り投げるように掛けると、部屋を去り際に呟いた。
「バラは、ライラックには、なれはしない。
 ジュンイチロがジュンイチロじゃなくなることなんて、できはしない。
 5年間。
 そう。
 この5年間、おれはおまえだけを見、おまえだけを思ってきた。
 愛しているよ――いや愛してしまった――例えようも、ないほど、深く。」
ジュンイチロは寝台に横たわり、ヘイゾの告白を聞いていた。瞳からはなぜかしらひとつまたひとつと、涙の雫がこぼれて落ちはじめている。
ジョンイルとの別れ、そしてヘイゾの衝撃的な告白。
なんという日だろう。

◇  ◇  ◇

官僚のお飾り人形大臣でいるよりも、ジュンイチロはより激しい勤務への転属を願い出、衛兵隊も出動命令を告げられる。
ジュンイチロが外へ出ると、ヘイゾが彼のセグウェイとともに待っていた。
「ヘイゾ」
「はい」
「私の衛兵隊いりは一週間後だ。それまで別荘へ行って来る。今日から私の供はしなくてもよい。」
「はい」
「この間のこと私は別に怒ってはいない。だが、記憶にも留めない。」
ジュンイチロは思う――愛の形は様々だ。愛し合う愛。自分からひたすら求める愛。そして思いもかけなかった者から一方的に求められた愛。一緒にいながら愛されていることに気づかなかった愛。ヘイゾの自分に対する愛。それはかつてジュンイチロ自身がジョンイルに向けた愛と同じであった。それだけにヘイゾの苦しさは痛いほどわかる。
しかし、いや、だからこそ。
今はだからできるだけ顔を合わせまい。ジュンイチロは慮った。

休暇後。
新着任先の練兵場へとやって来たジュンイチロは、信じがたい光景を目にする。
ただ一人、銃を手に正装したヘイゾしかいなかった。
けわしく問いただすジュンイチロに、ヘイゾはいささかうんざりした面持ちで肩をすくめ、こう答えた。
「中隊全員が、新隊長の閲兵を拒否するそうだ。」
「なぜだ!理由を言え!」
「無派閥の隊長の命令なんぞは受けたくないんだとさ。閲兵式が中止なら、俺も兵舎へ戻りたいのだがね。どうする?ジュンイチロ?」
ヘイゾは敬礼すると立ち去った。

怒りにまかせ、兵舎の扉をジュンイチロが開けた。
「さあ!みんな服装を整えて練兵場へ来い!閲兵式をやる!」
中隊仕官・アソータロが答える。
「みんな嫌だって言ってるんですぜ。
 お飾り大臣様に戻っちゃぁいかがですか?ジュンイチロさんとやら。
 ここにゃ変人の命令で動くようなマヌケな奴はいませんぜ。」
「言いたいことがあるのならベッドから出て、堂々と言え!ここは病院ではない!」
「おおっと。こいつは失礼。
 どっこいしょ、っと。
 ここは特に荒っぽいのが売り物のコーノG中隊だ。お体の大事な議員センセに、ケガさせちゃいけねぇからって、みんながね」
「断っておく。
 私も荒っぽいのは嫌いじゃない。
 どれほど諸君が荒っぽいのか、ひとつ、見せてもらいたいものだな。」
「ほぉ…。言ってくれますね、センセ。」
「よし!話は決まった。
 腕に自信のある者は練兵場へ来い。
 銃でも剣でもかまわんぞ。」
そう言い捨てるとジュンイチロは身を翻した。彼は廊下で見守っていたヘイゾにも一瞥もくれず練兵場へと向かった。
隊員らはアソータロを取り囲むと、サーベルを差し出した。
「いや、悪いが、俺は今回は降りる。
 無派閥は相手にしねぇ主義なんだ。
 …そうだな…おまえがやれ。」

全隊員へ届く明瞭な声をジュンイチロは錬兵場で張り上げる。
「いいか!私が勝ったら閲兵式を行う。もし負けたら今すぐこの衛兵隊を去る。」
隊員たちから喚声が上がる。

ジュンイチロは対戦相手の突きを身軽にかわし、瞬間一振り。
ジュンイチロの鋭利な剣先が、すばやく男の手の甲を切り裂く。
血が噴き出し、男は剣を取り落とした。
剣を収め立ち去ろうとしたジュンイチロの背へ、男が再襲をかける。
ジュンイチロは鞘で第二撃を刺し込み、完全に相手を倒した。
勝負は数秒で決まった。

隊全体が一斉に気色ばんだ。が、そこで大声で全兵を制したのは、さきほどの仕官・アソータロだった。
「待て!みんな待て待て!
 約束は約束だ!俺たちは負けたんだ。
 閲兵式だけはやってやろうじゃないか。
 ただしなあ、隊長さんよ。ここの皆があんたを認めたんだなんぞと思い上がってもらっちゃぁ困るよ。」
ジュンイチロは心得ている、と、こうべを軽く縦に振る。
アソータロはさらに言葉を続ける。「それからもうひとつ。
 これは基本的なことだが、俺達は決してイラクの終戦処理や、まして津波救援のために軍隊に居るわけじゃねえ。
 はっきり言おう。
 給料のためさ、おまんま食うためさ。
 ここんとこをよぉくわきまえておいてもらいてぇもんだな。」
この荒らくれの衛兵隊も、やがてジュンイチロに絶対の信頼をおくことになる。




[28] 手腕 nope 2006/09/24(Sun) 23:02

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用。

郵政民営化
────────────────────────────
小泉純一郎元首相が掲げた政策。
その高い支持率を背に半ば強引に推し進め(「郵政解散」参照)、
国民を骨抜きにし、メロメロにし、もうどうにでもして状態とした。

所謂、郵政民営化営無化(ゆうせいみんえーかえーのんか)である。



[27] 小泉劇場 DVD-BOX I(4枚組) るてんしと 2006/09/24(Sun) 19:37 [URL]
以下、マルチポストの宣伝コピペ。

■ タイトル : 小泉劇場 DVD-BOX I(4枚組)

¥13,552(税込)
¥12,320(税抜)
¥ 1,232(税金)
国内盤 DVD
発売日: 2016/09/26
組枚数: 4
規格品番: VPBX-16041 予約受付中
※発売日は変更になる場合がございます。予めご了承ください。

■ 伝説のテレビドラマ「小泉劇場」待望のDVD化!!

 NHKほか民放各局にて2001年4月26日〜2006年9月26日に放送し、圧倒的な支持を得た「小泉劇場」、待望のDVD化!

 当時としては画期的な北朝鮮ロケやプレスリー邸でのロケなど世界的スケールの演出に工夫を凝らし映像。また、合成やミニチュア使用の特撮だけでなく、自衛隊を海外派兵しての大規模ロケも敢行して、「小泉劇場」の壮大なスケールの世界観を描いています。

 物語は、神奈川県横須賀市に生まれた小泉純一郎の生い立ちから始まり、山崎拓、加藤紘一(YKK)との出会いを経て、構造改革を目指す波瀾万丈の展開が繰り広げられます。

 また、森喜朗、田中真紀子、竹中平蔵、ブッシュ大統領、金正日総書記、小泉孝太郎(親子共演)など、様々な豪華ゲスととの共演もこのドラマの人気の一つでした。

 そしてシリーズ後期には、ポスト小泉として、安倍晋三、麻生太郎、谷垣禎一、福田康夫(途中リタイア)などの後継者たちの熾烈な戦いが注目されました。

 出演者は、小泉純一郎に小泉純一郎本人。その他、全て本人が登場という豪華俳優陣。

 また、X JAPANのテーマ曲「Forever Love」、エンディングテーマ「Tears」の2曲ともに大ヒットしました。

 DVDは、都内スタジオに当時の官邸を再現し、小泉純一郎、ブッシュ大統領、金正日総書記の対談インタビューを収録。当時の撮影エピソードを余すことなく収録!!

■ 詳細

★DVD4枚組仕様(本編DISC×3+特典DISC)
★第1話〜第10話収録

<映像特典>(特典DISC収録)
●「小泉劇場スペシャル対談 前編」(出演:小泉純一郎、ブッシュ大統領、金正日総書記)

<収録話>
●第1話「小泉純一郎誕生した!」
●第2話「第32回 衆議院議員総選挙 落選した!」
●第3話「第33回 衆議院議員総選挙 当選した!」
●第4話「大臣歴任した!」
●第5話「自民党総裁選 惨敗した!」
●第6話「第87代内閣総理大臣 就任した!」
●第7話「靖国神社参拝した!」
●第8話「アメリカ同時多発テロ発生した!」
●第9話「北朝鮮首脳会談した!」
●第10話「小泉改造内閣発足した!」

本編約460分+特典映像/4:3/カラー/モノラル 片面1、2層/音声:ドルビーデジタルモノラル

企画:自由民主党/脚本:ジェームス三木/プロデューサー:小泉純一郎/音楽:YOSHIKI/演奏・唄:X JAPAN/監督:小泉純一郎/製作:自由民主党

出演:小泉純一郎ほか

(C)自由民主党 小泉純一郎




[26] (削除)るてんしと2006/09/24(Sun) 19:32




[25] 帝王学 玄界灘男 2006/09/24(Sun) 19:27

「お前にもそろそろ出馬してもらう。」

かつて一国の首相だった男は息子におごそかに告げた。現役であった頃から見れば幾
分背が縮み、白髪が増えたように見える。が、その声はかつての張りを保っていた。

「いよいよですか。僕も、いや、私もそろそろだと思っていましたよ、父さん。
 いや、首相と呼ぶべきかな。」
「それは過ぎたことだ。」

男はかつてそうであったように唇の端を上げた人を小ばかにしたような微笑を浮かべ
た。もちろんそれは意図的に作り上げた「印象に残る表情」のひとつだ。長年やって
きた癖が身に染み付いただけである。

「父、お前の祖父の時代にはこれほどメディアが力を持つとは思わなかった。だから
 爺さんは俺にどぶ板選挙、いわゆる地元民の手を取り、生活の苦情を聞き、住民と
 こまめに握手をして回るような手法を叩き込んだ。それはそれで間違ってはいなか
 った。お陰で俺は総裁にも首相にも成れた。しかし、これからは違う。タレントが
 面白いからといって上位当選し、派手なパフォーマンスをやる政治家が目立ち、う
 かつな議員はすぐ足元をすくわれる。しかしそれもすぐ忘れられる。国民が刹那的
 で馬鹿になっている証拠だ。
 そんな時代に誰が勝つ?それは奇行でもなんでも目立った人間なのだ。」

息子は深く頷いた。父のこの遠大な計画があったからこそ自分は「大根だ」「七光り
だ」「歯並びが悪い」等の中傷にも耐えた。父の趣味の悪い写真集発売にも歯をくい
しばって耐えた。好きでもない柄の悪いロックバンドのメンバーにも愛想良くした。

「俺だってすっきりとした髪型にしたい。もっと自己の感想を長々と喋りたい。変な
 踊りを踊ったりなどしたくない。演歌が好きだ。しかし、この家の血を絶やすこと
 は出来ない。我が家は日本を支配する誇り高き一族なのだ。この国の国民はポリシ
 ーある政治家など求めていないのだ。面白く、判りやすく、自信にあふれてさえい
 ればリーダーだと認める国民に過ぎないのだ。いいか、その一点だけを外さなけれ
 ば時代は味方となる。」

父の自信に満ちた顔を見つつ、息子は思う。確かに父のやり方は正しい。かつてこれ
ほど有効にメディアを利用し、翻弄した政治家はいなかったはずだ。

「国民に愛されるのは凡庸ではダメだ。わざと物まねされるような特徴を出し、愚鈍
 を装って海外メディアに取り上げられ、ポマード臭くし、場合によっては死んでも
 見せる。このくらいのインパクトをもって自分の決めた後継者に道を譲るようでな
 いと党内でトップになることなど出来はしないわ。」
「と、父さん、それじゃあ。」
「当たり前だ、お前は自民党の総裁をなんだと思っていたんだ。全て十露盤づくだ。
 国民には笑わせておけばいい。その度量がなければ一国を牛耳ることは不可能
 だ。」

息子は背筋に寒いものを感じた。小学生の時分に「あ〜う〜」とかいう物まねをした
ことがあった。しかし、それも首相の手のひらで踊らされていただけだったのだ。小
学生の口コミまでを利用した巧みな有権者攻略。どうりで誰でもが簡単に物まねでき
た訳だ。

「いいか孝太郎、お前はこれから足掛け2年間仕事を選ぶな。粉にまみれろ、粘着剤
 につけ、おびえるだけおびえてバンジ−する技を盗め。段々と二の線から外れてい
 け。しかし、その中でも馬鹿にされないように心しろ。ボランティアや福祉関係に
 は積極的に参加しろ。ドラマでは『主人公』よりも『いい人』の役を選べ。なんな
 ら俺が不治の病になってもいい。芸能界の大御所とよしみを通じろ、中村敦夫の二
 の舞は踏むな。森田健作を見習え。選挙演説にタレントを呼べば票は確実に伸び
 る。今の親交はそのための道具だと言うことを忘れるな。」

それだけ言うと純一郎は目を伏せた。永年を謀略の世界で過ごした男のやすらぎのな
い寂しげな横顔だった。

「父さん判ったよ、和田さんやタモリさん、みのさんには早速手紙を出してみる。」
「遅い、遅いわ。そんな手はすでに打ってある。その箱を開けて見るがいい。そこに
 切り札がある。」

純一郎に促されて机の上の文箱を開けると、そこには今時には珍しい封書があった。

「父さん、これは?」
「差出人を見てみるがいい。その推薦状がお前に絶大な力を与えるだろう。」

孝太郎は震える手で封書の裏をかえし差出人を見てみる。
そこには今にも消え入りそうな頼りなげな字で「もりしげ」とだけあった。




[24] 親子鷹 玄界灘男 2006/09/24(Sun) 16:26
純一郎 「なあ、なんか仕事ないかなあ?エキストラとか。」
孝太郎 「別に議員辞めた訳じゃないし、そんなに暇でもないでしょう?」
純一郎 「でもなあ、やっぱり首相と平議員じゃ業務が違うしなあ。俺、議員の
     役とかうまいぞ、多分。」
孝太郎 「多分とか言われても。それに演技とか出来ないでしょう?」
純一郎 「七光野郎になんとかなるんだから大丈夫だろう?演技なんぞ。」
孝太郎 「もう絶対紹介しない。誰がなんと言っても紹介しない!」
純一郎 「悪かったってば。軽く首相役かなんかどうかなあ。怪獣映画でもいいし
     『核攻撃だっ!』くらい台詞のサービスはしてあげてもいいぞ。」
孝太郎 「そんなしゃれにならないことすると出られるもんも出られなくなるよ。」
純一郎 「場合によってはかぶりものOKだし、けつくらいなら出してもいいぞ。
お前と一緒にダブルっていう手もあるな。」
孝太郎 「見たくないでしょう。てか、僕はやりたくないですよ、二の線なんだか
     ら。」
純一郎 「なんならブッシュとかクリントンに頼んで出てもらってもいいな。そう
     いうコネならあるんだな、俺は。」
孝太郎 「父さん以上に使い様がないと思うなぁ、その二人。」
純一郎 「じゃあ、阿部くんか麻生くんなんかどう?」
孝太郎 「もっとダメですよ。」
純一郎 「三人でけつくらいなら出してもいいぞ、なんなら。」
孝太郎 「え?ブッシュ大統領とクリントン元大統領と?」
純一郎 「いや、安部君とか麻生くんとか。」
孝太郎 「見たくないなあ。いや、見たいかもしれないなあ。」
純一郎 「とりあえず『恋のから騒ぎ』出演あたりからかな。そこから徐々に。」
孝太郎 「普通は『笑っていいとも!』からでしょう。」
純一郎 「タモリに電話してみてくれるかなあ?なんならけつくらい出すからさ
     あ。」
孝太郎 「父さんの芸能界イメージというのはけつしかないんですか?」
純一郎 「え?違うの?笑いといったらけつでしょう。」
孝太郎 「芸能界を馬鹿にしてるでしょう。もう絶対に紹介してやんないから。」
純一郎 「あ、孝ちゃん、何処行くのさ。気に障ったなら謝るからタモリに電話して
     くれよお。ねえってばあ。孝ちゃんてばあ。」





[23] 隠居の後 コバ 2006/09/24(Sun) 12:35
父子。食卓。冷蔵庫を開ける音。
とがめる息子。
「昼間っからビールですか。」
「うん。」
「よくないですよ。父さん、だらしない。」
「うん、でもね。昼間からビールをのむために、頑張ってきた。
だから、昼間から、ビールを飲みます。」
缶を開ける音。ゴロ寝。
問う息子。
「母さんは。」
「パートに行きました。さっき。」
「父さんも何か」
「うん。そのうちに。探してますよ。色々。」
「僕は今日は芝居仲間と合宿に行くので戻らないけど」
「うん。気をつけて。」
「明後日には戻るから」
ガレージの蛇腹を開ける音、エンジン音、ガレージを閉める音。
数秒エンジン音が聞こえて、静かになる。
ビールを一口。
「隠れてないで出てきたらどうですか」
物陰から出てきた黒ずくめの男2人が、ライフルを手にゴロ寝の背中を取り囲む。
男は問う。
「いつ気づいた」
「起きた時から。こう見えても昔は一国の長でしたからね。勘というものは、あります。」
「あんたに怨みはないが、これも仕事でね。」
「黒幕は野中さんかな。執念はおそろしいな。」

背を向けたまましばし無言。ビールを一口。ライフルの引き金が絞られる。
と、その時、電光石火の足払い、体勢を崩した闖入者の顎に掌打が打ち込まれ、
同時に奪ったライフルの銃床が背に立つ男の水月を貫いた。
崩れ落ちる二人の男。見下ろす手にビールは握られたままだ。
息も絶え絶えに男はつぶやく
「これが…自民党を潰した拳か…。しかしあのお方の前では…」
絶命した男の顎を踏み砕き、決意の表情を浮かべる。

小泉純一郎。かつて総理大臣とよばれた男である。
「痛みに耐えて能くこれを打つ」として知られる小泉無双流の始祖として名を馳せるのは、これより少し後のことである。



[22] 米帝の犬 週刊魚魚 2006/09/24(Sun) 11:06 [URL]
あらすじ

純一郎は首相官邸に住む64歳の首相。
郵政民営化や構造改革などをして暮らしていました。
自分の体に絵を描いていた祖父の又次郎の血を受け、
絵を描くのが大好きな純一郎は、地元横須賀出身の画家
ルーベンスの絵を一目見ることを夢見ていました。
純一郎は世界一の大国、アメリカの一人大統領ジョージとは仲が
よかったのですが、民主党の直人や一郎、中国の沢民や錦濤、
韓国の武鉉にきらわれ、いじめられていました。

そのころ、ニューヨークでは、常任理事国の地位があたえられる
国連のコンクールがありました。純一郎はけんめいな努力をして
そのコンクールに入賞しようとしました。しかし純一郎の努力は
錦濤にじゃまされて、みのることはありませんでした。
そして直人や一郎などの民主党は、アジア外交の失敗だと
純一郎にぬれぎぬをきせ、さらに純一郎をいじめるのでした。
それだけではありません。ジョージにもらったセグウェイまで
リコールだとなんくせをつけられてとりあげられてしまいました。
そんないじめにたえかねた純一郎はある日、あてもなく首相官邸を
出て行ってしまったのです。

純一郎がたどり着いたのは靖国神社でした。
そこには純一郎があこがれていたルーベンスの絵がかざられて
いたからなのでした。
あこがれの、夢にまでみたルーベンスの絵を、ついに目の前にした
純一郎は頭を深くさげ、
「神主…ぼくはもうねむいんだ…」
そう言うと手をあわせ、ゆっくりと目をとじたのでした。


とても暑い、八月のある日のことでした。



[21] 相撲は日本の国技である、そんな風に思っていた時期が以下略 橋川桂 2006/09/24(Sun) 10:56
昔→大横綱が負傷を押して強行出場して優勝→感動

今→若手日本人力士が十勝くらい→感動


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