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[昼60] 遭難父子 じょーしゅ 2003/07/11(Fri) 22:09 [返信]

「いいかい、坊や。こんなふうに道に迷っても全然あわてることはないんだよ。まずは方角を知ることだ。
腕時計の短針を太陽に向けてみよう。そうすると12時と短針の中間の方向が南を指すんだ。すごいだろ?」
「うん、だけど……」
「何か心配かい?」
「それはアナログ時計の場合じゃないの? パパの時計は……デジタルだよね」
「……は、ははは。まあね。まあ、それほどのことでもないんだけどね。う〜ん、それにしても、道には迷っても人生の道筋だけは間違えないようにしたいものだねえ」
「……」



「いいかい、坊や。いつかも言ったけど、こんなふうに道に迷っても全然あわてることはないんだよ。まずは方角を知ることだ。
腕時計の短針を太陽に向けてみよう。そうすると12時と短針の中間の方向が南を指すんだ。すごいだろ?」
「うん、だけど……」
「何か心配かい? 今度はちゃんとアナログ時計をつけてるよ」
「うん。でも、それって地球の北半球の中緯度付近でできることだよね。
ここは地球から20万光年も離れてるし、惑星じゃなくて衛星だし、それも極地だし、その方法使えるのかな? しかもここの太陽、2連星だから、どっちに合わせたらいいかという問題もあるし… 」
「……は、ははは。まあね。まあ、何かしらせちがらい世の中ではあるよねえ。結局、信じられるのは親子の情愛だけってことになっちゃうのかねえ」
「……」



「いいかい、坊や。過去2回も言ったように、こんなふうに道に迷っても全然あわてることはないんだよ。まずは方角を知ることだ。腕時計の短針を・・・以下省略するけど、とにかく12時の方向が南を指すんだ。すごいだろ?」
「うん、だけど……」
「何か心配かい?今度はちゃんと地球の日本にいるよ。もちろんパパの時計、アナログだし」
「でも、それって通常の時間の流れにいる時の話だよね。あの星からは奇跡的に戻れたけど、今、僕たちはタイムマシンの暴走で、えらい勢いで過去に溯ってるんだし、もうじきビッグバン以前の領域に突入しそうな状況だよ。時計の存在自体に意味があるのかどうかわかんないし、道に迷ったという言い方自体が誤りのような、そんなムード満点だよね」
「……は、ははは。まあね。まあ、人は皆、時の流れに身をまかす孤独な旅人ってことかもしれないねえ」
「……は、ははは」
「ははは」
「ははははは」


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[昼59] 帰らざる川 週刊WEBマガジンSAKANAFISH 2003/07/11(Fri) 20:53 [URL] [返信]



関ヶ原の戦いから二年、備前美作五十五万石に封ぜられた
金吾中納言小早川秀秋は鬱々として楽しめない日々を送っていた。
と、いうのも関ヶ原の戦いで東軍勝利のきっかけを作ったにもか
かわらず、裏切り者として陰口をたたかれ、その傷口を癒すには
備前美作五十五万石はあまりにも小さすぎるのだった。
そんな秀秋がうまい話に飛びつくのも無理は無い話である。



秀秋  「ええいっ!まだわからんのかっ!」
小姓  「そう申されましても…何しろ我等も初めてでございま
して…」
秀秋  「わかっておるのかっ!十二時までに何とかしなければ
ならないのだぞっ!」
小姓  「殿、その十二時が一体いつごろかわからぬゆえ、困っ
ておるのではないですか。 」
秀秋  「うぬうっ!」



秀秋はずっとそのことばかり考えていた。もしあの時、西軍を裏
切らなければ、 西軍は勝利し、自分は裏切り者としては後ろ指を
さされたりはしなかったのではないか。
三成は、秀頼が成人するまでの間、自分を関白にすると言った。
関白になれば天下人である。 今の五十五万石とは比べ物にもなら
ない。
あの時、あの場所に帰れたら―――秀秋はずっとそのことばかり
考えていたのである。
そんな時に、彼の前に現れた男がいた。
タイムトラベラー、である。



秀秋  「あのタイムトラベラーが指定した時間は
本日の午後十二時ちょうど!本日、午後十二時ちょう
     どに三之外曲輪の大松の下に行けば、あの、関ヶ原の
     直前に、わしを戻してくれるというのだ!」
小姓  「ですが、その午後十二時というのがいったい、我々の
     何時ごろにあたるのかさっぱりわからないのですよ。」
秀秋  「それがわかるようにタイムトラベラーは時計を各種置
     いていってくれたのではないか!」
小姓  「ですから、その時計の見方がわからないのでございま
     すよっ!」



当時、西洋から伝わった時計は、あった。秀秋も、それを見たこ
とはある。
大阪城で秀吉が自慢げに見せてくれたのだ。舶来物好きの家康や
政宗が興味を持っていろいろと時間について聞いていたが、秀秋
は聞いていない。
眠かった、のである。
若い彼の肉体は睡眠を求めていた。居眠りをしようとて誰が責め
られようか。
しかし、彼は秀吉にこっぴどく叱責された。もちろんチクったの
は三成である。



小姓  「もう、ずっとあの松の前で待っておればよろしいので
     はないですか。」
秀秋  「ならん。そんなことをすれば平岡に見つかってしまう
     ではないか。そして、もしわしがタイムトラベラーと
     会うなぞと平岡に言って見ろ。どれだけ冷ややかな目
     で見られるか。 」
小姓  「それは平岡様に限った話ではないと思いますが。」
秀秋  「大体あいつが余計なことをしなければ、こんな苦労を
     せずにすんだのだ。あいつがいつもわしの足を引っ張
     っておるのだ。」



平岡石見守頼勝、彼は秀吉の命によって秀秋の附家老となった男
である。
大変有能で年少の秀秋に代わり、家政を切り盛りしてきた。 家康
に近づき小早川家を東軍に寝返らせる算段までした。それもこれ
も秀秋の身を思ってのことである。
もちろん、自らのためでない、とも言い切れない。
後のことではあるが、彼は大名に取り立てられている。家康との
個人的関係を評価されてのことである。三成への私怨も無論ある。
慶長の役の際、船で少々吐いたばかりに
ゲロ、よばわりである。
しかし基本的には頼勝はいつも
秀秋と、小早川家のことを考えて行動してきた。
だが、それが秀秋に通じるかどうかは別問題である。



小姓  「それにしてもタイムトラベラーに午後十二時がいつ頃
     かということぐらいお聞きにならなかったのですか?」
秀秋  「それがのう、タイムトラベラーはずいぶんと忙しいら
     しく、会見の時間も制限されておってのう…。何しろ
     今日はわしのほかにも五,六組は別の時間に連れて行
     くと言っておったな。 」
小姓  「そんなことをして、タイムパラドックスがおきたらど
     うするんですかね。」
秀秋  「たわけっ!タイムパラドックスなどと、この時代に無
     い言葉を申すなっ!」
小姓  「ははっ!」



秀秋と小姓の前には五つの時計があった。先ほどからそれをにら
んでは、疲れ目に目を押さえている。
眼精疲労、である。
目を連続して使うと、眼球を動かす筋肉が疲労し、目がかすんだ
り、偏頭痛がする。
遠くを眺めたり、ブルーベリーを食べたりすればよいという。
だが、この時代の備前美作にブルーベリーは、無い。
地獄、である。



小姓  「はっ!そういえばっ!加治川頼母殿が、堺で南蛮式の
     時計を学んでらしたと聞きましたぞ! 」
秀秋  「おおっ!そうかっ!なら早く頼母を呼べっ!」
小姓   「ははっ!」



加治川頼母は幼いころより算術に長けた侍であった。父の九郎は
武勇で知られた侍であったが、頼母は親にも似ずに算盤をはじい
てばかりであった。その算盤を買ったのが、小早川家の先代、
小早川隆景、である。
隆景は釣りが趣味であった。釣る事が目的ではない。川面に糸を
垂れて、終日浮きを眺めるのだ。夏の日に釣りに行って倒れたこ
となどもあった。
日射病、である。



秀秋  「ええいっ、あの役立たずっ!まったく時間を読むこと
     ができないではないかっ!腹を切らせい腹を!」
小姓  「そうは申しましても、デジタルと、アナログでは見方
     が違うとのことですのでこればかりは… 」
秀秋  「もうよいっ!こうなったら最後の手段じゃっ!」
小姓  「は。」
秀秋  「今から三之外曲輪の大松の前で、タイムトラベラーを
     待つ!」
小姓  「しかしそれでは平岡様に…」
秀秋  「平岡の一党は一時、城の大広間に監禁せよっ!」
小姓  「そ、そのようなことをされては、後でどのようなこと
     になるか…」
秀秋  「かまわぬっ!時間はもどるのじゃっ!後のことなど、
     無いのだっ!」



平岡派の重臣達は全員登城を命ぜられ、大広間に監禁された。
広間の入り口には大振りの槍を構えた番士がつけられた。
備前の国は昔より刀工が集まる地であった。名刀備前長船もその
一つである。むろん槍もそれなりの刀工が拵えたものである。
穂先だけでなく、柄一つをとってもまさに至高の名品、工芸の極
みと言ってもよい。だが、問題が一つある。
カバー、である。



秀秋  「でいやああああああああっ!!」
小姓  「どいやああああああああっ!!」



なるほど槍はすばらしい。だが、槍の穂先を覆うカバーは、各家
によって違っていた。刀工たちはカバーをつくらなかったからで
ある。だから槍の持ち主達は各々カバーを調達せざるをえなかっ
た。
”伊達者”の名を持つ仙台伊達家などはカバーにも贅を尽くした。
黒漆に金銀箔をふんだんに使ったその輝きは伊達家の威を天下に
知らしめるのにこれ以上は無い威容であった。



秀秋  「あぐああああああああっ!!」
小姓  「べのああああああああっ!!」



だが、伊達家のように数百年来の家臣団を持たず、新規召抱えの
家臣が大半を占める小早川家は、そのようなカバーの統制が取れ
なかった。
平岡石見家が朱塗りに銀箔押しの九曜紋かと思えば、内藤典薬家
のカバーなどは桃色地に苺模様である。
村越主膳家などにいたっては、
うさぎちゃん、である。
小早川家が他家から影口をたたかれるのは裏切りのせい、だけで
ないとも識者は指摘する。



秀秋  「はあ、はあ、はあ…まったくしぶとい奴だ平岡め。」
小姓  「さすがは平岡様、二十数人の番士相手にも一歩もひけ
     を取られませんでしたな。ほら、ここにもあざが。」
秀秋  「ふん、まあそれもわしの小早川・デンジャラス・アタ
     ックの前には敵ではなかったがな。」
小姓  「後ろから殴っただけじゃないですか。」
秀秋  「うるさい。しかしすっかり遅くなってしまったな。
     タイムトラベラーの言う午後十二時が過ぎておらねば
     よいのだが。 」
小姓  「あっ!と、殿、ご覧くださりませ!!」



そこに立っていたのがタイムトラベラーの大杉兵庫、である。
大杉家は代々高野山支配の荘園大杉荘の名主として続いてきた。
その後、独立して武士となり、筒井氏、豊臣氏と仕え、最終的に
は大和柳沢家の家臣となった。明治維新にいたって大杉家はサラ
リーマンになった。代々サラリーマンを勤めたが、兵庫は親のす
すめもあってタイムトラベラーになった。
タイムトラベラーも悪くない、兵庫はそう思っていた。



秀秋  「おおっ、間に合ったかっ!」
兵庫  「では、約束の時間に連れて行ってあげましょう。」
秀秋  「そうかそうか。すまぬの。これ、小姓、お前も行くか?」
小姓  「いえ、私は…いいです。
     人生はやり直しがきかない…、それが人生の
     すばらしさだと思ってますから… 」
秀秋  「過去に戻ったらお前の一族を根絶やしにしてやるから
     な。」
小姓  「それはちょっと。」
兵庫  「はーいそれではいってらっしゃーい。」



みょみょみょみょうみょうみょうみょみょうっ、と大きな渦に巻
き込まれて秀秋の姿は消えていった。月明かりに照らされた大松
は変わらずそこにそびえていたし、小姓と兵庫はそこにいる。
だが、秀秋の姿だけが無い。
まったく奇妙な夢を見ているような、そんな心持ちの小姓をはっ
と我に還らせたのは兵庫の声だった。



兵庫  「えーと、次の予定は午後十二時に、小早川秀秋さんを
     一六〇〇年にもどす…と…。」
小姓  「え?」



月日は百代の過客にして行きかう年もまた旅人也、といったのは
松尾芭蕉、である。なるほど月日は行ったきり還ってこない。
帰ってこないからまた懐かしむ人も多いのである。
秀秋はまだ若い。
ヤング・フォーエバー・秀秋、である。



秀秋  「やれやれ、せっかく過去に戻ってきたはいいが
     一体ここはどこなのだ。 」
    「きゃ〜〜〜っ!」




どすん。と音がして秀秋にぶつかってきたものがいた。
後白河法皇、である。源頼朝に日本一の大天狗と呼ばれたその男
と、今、秀秋はもつれ合って石段を転げ落ちている。
その姿はまさに、相州相模屋の
羽二重饅頭、である。




法皇  「おうっ!一体どこにめをつけておるのじゃっ!」
秀秋  「ご、ごめんなさーいっ!」
法皇  「あれ?」
秀秋  「あれ?」




京の秋の空はあくまで冷たく青い。比叡の山おろしがすべてを掃
き清めていくから、かもしれない。
その京の空気の中で、法皇の姿をした秀秋と、秀秋の姿をした法
皇は、ただ、呆然として互いを見つめるばかりだったので、ある。
おわり、である。



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[昼58] 怪盗コレクション s・バレット 2003/07/11(Fri) 20:12 [返信]

HQフィギュアシリーズ<ルパン・ザ・ムービー>第1弾&第2弾  好評発売中


第一弾
・ルパンと次元
・石川五右ヱ門
・ルパン三世
・クラリス
・クラリスとルパン
・峰不二子

シークレット
・銭型警部



第二弾
・クラリスとカリオストロ伯爵
・カリオストロ伯爵とジョドー
・時計塔とカリオストロ伯爵(3時45分ver.)
・時計塔とカリオストロ伯爵(2時50分ver.)
・時計塔とカリオストロ伯爵(1時58分ver.)
・時計塔とカリオストロ伯爵(12時ver.)

シークレット
・オリジナル・マモーと時限爆弾



第三弾(9月発売予定)
・時計塔とカリオストロ伯爵<セピアカラー>(12時ver.)
・時計塔とカリオストロ伯爵<断面図>(12時ver.)
・時計塔とカリオストロ伯爵<クリアバージョン>(12時ver.)
・オリジナル・マモーと時限爆弾1
・オリジナル・マモーと時限爆弾2
・オリジナル・マモーと時限爆弾3

シークレット
・落ちるムスカ(眼鏡なし)



*「オリジナル・マモーと時限爆弾」は1〜3を組み合せることによって完成します。
**先日お伝えしました第三弾のシークレット「小林清志に鉄拳を食らわせられる栗田貫一」は、都合により変更となりました。ご了承ください。




第四段(発売日未定)
・小林清志に説教される栗田貫一
・小林清志と納谷悟郎にステレオでなじられる栗田貫一
・とくにわけもなく増山江威子に足蹴にされる栗田貫一
・とくにわけもなく増山江威子にツバを吐き掛けられる栗田貫一
・とくにわけもなく増山江威子に2ちゃんねるで携帯の番号を晒される栗田貫一
・井上真樹夫に胴を輪切りにされる栗田貫一

シークレット
・スタジオ脇の階段で一人、「おれの名はルパ〜〜ンさゃ〜んせぃ〜〜」と小声で言ってみる涙目の栗田貫一

*本シリーズは映画の名場面のフィギュア化であり、フィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。



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[昼57] 本当は恐ろしいフランスの童話 玄界灘男 2003/07/11(Fri) 19:56 [URL] [返信]


王子様は思いました。
「12時の鐘とともに帰ってしまわれたあの人にもう一度合いたいものだ。」
彼女の柔らかい手やかわいらしいかんばせは今も王子様の目の前にちらつきます。
でも王子様の手の中には、かわいらしいガラスの靴が1つだけあるだけです。
「よし、手がかりはたった一つでも、僕はきっと彼女を探し出して見せるぞ。」
王子様はガラスの靴を見つめながら、そう決意したのです。

翌日から家来たちは国中の娘という娘にガラスの靴を履かせて歩きました。
でも、その靴はあまりに小さくて普通の大人の女性の足には合わないのです。
このままでは家来は王子様に罰せられてしまいます。みんなは必死でした。

やがてひとりの若い娘が見つかりました。
身長も年齢も足の大きさもぴったりです。家来達は喜び勇んで王子様のところに娘を連れ
て行きました。

王子様はその娘を一目見るなり「え〜。」と思いました。
恥じらいながら王子様の言葉を待っているその娘は、あの日の娘とは似ても似つかないの
です。なんだかみすぼらしくて、ちょっといいづらい風貌で、足だけが異様に小さいので
す。王子様は涙がこぼれそうになりました。

「あなたはあの夜の娘さんですね?」
「はい。」

娘は王子様の淡い期待をも打ち砕く肯定の言葉を言い放ちました。

「あの日の姿はどうしたのですか?」

王子様は聞きました。

娘は、日頃継母にいじめられており、それをかわいそうに思ったよい魔法使いがあの姿に
してくれたこと、12時には魔法が解けてしまうと言われていたために、急いで帰らざるを
えなかったこと、などを話しました。

すべてを聞いた王子様は、実に愛想のいい笑顔を浮かべてこういいました。

「では、お嬢さん、あなたがお忘れになった靴は確かにお返しいたします、お元気で。
ご機嫌よろしゅう。」

教訓

「過ぎたるは及ばざるが如し。」「やりすぎはよくないことですよ。」


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[昼56] 事情 くもすけ 2003/07/11(Fri) 19:03 [返信]


「じゃ、12時間後、同じ場所でね」
「分かった。12時間後、同じ場所で」

」12時間3分後
「どうしたの?3分遅刻してるよ」
「後半の上り坂がきつくてさ」
「そうなの?体調でも悪いの?」
「いや。大丈夫だよ。心配かけてごめん。
 次はちゃんと時間守れると思うから」
「分かった。じゃあね。私は急ぐからね」
「うん。そっちも頑張って」

」12時間7分後
「大丈夫? また7分遅れだから、トータルで10分の遅刻だよ」
「あれ? おかしいな? ちゃんと時間守ったつもりなのに」
「本当? おかしいわね」
「あれかな。7のあたりで、ガタッで揺れたから。あのせいで感覚が狂ったかな?」
「まぁ、いいわ。次はちゃんと時間守ってね。12の上で2人が
 そろってないと、格好つかないって言われるのよ」
「うん。分かってる」
「じゃあ。私急ぐから」

」12時間9分後
「何? どうしたの? トータルで19分の遅刻になっちゃったよ」
「あぁ」
「ん? もしかしてお酒飲んだ?」
「いや。そんなことないよ」
「体調が悪いのかもしれないけど、頑張ってね。
 19分も遅れているから、私、急がなきゃ」
「あぁ」

」12時間10分後
「どういうことなの? トータルで29分も遅刻じゃないのよ」
「…」
「…。あぁっ。やっぱりお酒臭い。さっき9のあたりで追いぬいたときに、
 もたもたしているなと思ったら、あそこでお酒飲んでたんでしょ!」
「飲んでねぇよ」
「飲んでるわよ。お酒臭いじゃないの」
「うるせぇなぁ」
「うるさいじゃないでしょ! どうして、すぐバレるような嘘をつくの?
 そんなに時間にルーズな人と一緒だったら、仕事にならないじゃないのよ!
 私はこれから31分で1周して、それから1時間ごとに1周しなきゃならないのよ。
 あんたは12時間で1周だけでしょっ。しっかりしてよ!あぁーもぅイライラ
 するわぁぁぁ!! とにかく、私は急ぐから。しっかりしてよ!!!」
「…」

」31分後
「あんた、何してるのよ!!。まだ12の上にいるじゃない。何? 何なの?
 どういうつもりなの? あれから31分もたっているのに、12時のままって
 ことじゃないよのよ! ほんといい加減にしてよ。このままじゃ、2人そろって
 クビになるわよ!」
「知らねぇよ」
「あっ。あんたまだ、お酒抜けてない! ここまでお酒持ってきているでしょ??
 お酒はもう止めてよぉ。ここまで言わなきゃ分からないの?? さっさとシャワー
 でも浴びてきなさい。それから、ちょっとでもいいから前に進むのよ。少しでも
 進んでおけば、ごまかしは効くんだから」
「分かった。分かった。わぁーかぁーりぃーまぁーしぃーたぁ」
「ほんといい加減にしてよ。もう行くからねっ」

」1時間後
「ZZZZZZ…」
「だめだ。この人まだ12の上にいる。もうだめ。限界よ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ママ。この時計、短い方の針しかないよ」
「長い方は愛想つかして出ていったのよ。きっと」



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[昼55] アンケート Belial 2003/07/11(Fri) 18:49 [返信]

あなたはお昼の12時20分ごろ(平日)に何をしていますか?
1位 昼御飯              35%
2位 家事・仕事            31%
3位 日本テレビのスタジオにいる 13%  
4位 テレビを見る           11%
5位 フジテレビからの電話を待つ  5%
6位 フジテレビから電話がかかる  4%
             その他      1%

(関東圏40−60歳代の女性1098人を対象に調査)


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[昼54] ともだちの輪 タケヤス 2003/07/11(Fri) 17:58 [返信]

『業務連絡:(部外秘)』 2003年7月11日(金)

「テレフォンショッキング」8月〜10月までのゲストが
決まりましたのでお知らせします。
(月)担〜(金)担は前々日までに身柄拘束の確認を
宜しくお願いします。
                 
             いいとも制作部テレショ班

――――――――――――――――――――――
8月1日(金):ガダルカナル・タカ

8月4日(月):桂小枝
8月5日(火):ダンディ坂野
8月6日(水):野沢直子
8月7日(木):小堺一機
8月8日(金):木村祐一

8月11日(月):チャーリー浜
8月12日(火):松本人志
8月13日(水):島田紳助
8月14日(木):ケンドーコバヤシ
8月15日(金):笑福亭鶴光

8月18日(月):内村光良
8月19日(火):松鶴家千とせ
8月20日(水):せんだみつお
8月21日(木):大竹まこと
8月22日(金):トミーズ雅

8月25日(月):坂上二郎
8月26日(火):ウガンダ・トラ
8月27日(水):ラッシャー板前
8月28日(木):越前屋俵太
8月29日(金):立川談志

9月1日(月):笑福亭笑瓶
9月2日(火):今いくよ
9月3日(水):横山たかし
9月4日(木):正司敏江
9月5日(金):エスパー伊東

9月8日(月):植木等
9月9日(火):春風亭小朝
9月10日(水):三遊亭円楽
9月11日(木):桑原和男
9月12日(金):岡八郎

9月15日(月):上島竜兵
9月16日(火):石塚英彦
9月17日(水):小松政夫
9月18日(木):岡村隆史
9月19日(金):島崎俊郎

9月22日(月):ウド鈴木
9月23日(火):北野誠
9月24日(水):所ジョージ
9月25日(木):ジミ−大西
9月26日(金):清水圭

9月29日(月):いっこく堂
9月30日(火):海原はるか
10月1日(水):嘉門達夫
10月2日(木):小野やすし
10月3日(金):清水ミチコ

10月6日(月):古今亭志ん弥
10月7日(火):山口智充
10月8日(水):月亭八方
10月9日(木):上田晋也
10月10日(金):山崎邦正

10月13日(月):石田靖
10月14日(火):清水アキラ
10月15日(水):ラサール石井
10月16日(木):池乃めだか
10月17日(金):上沼恵美子

10月20日(月):小宮孝泰
10月21日(火):水道橋博士
10月22日(水):関根勤
10月23日(木):村崎太郎
10月24日(金):梅垣義明

10月27日(月):木下明水
10月28日(火):いかりや長介
10月29日(水):ケン坊田中
10月30日(木):桂三枝
10月31日(金):志村けん
――――――――――――――――――――――

※8月28・29日(木・金)「立川談志」当日キャンセルに備え、
田村淳(ロンドンブーツ1号2号)を舞台裏にスタンバイのこと。


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[昼53] 2003年8月15日付 天声人語 くもすけ 2003/07/11(Fri) 16:52 [返信]

 「終戦のとき、学校に
配属将校が来て切腹の仕
方を教えられた。まさに
聖戦という時代だったの
だろうが、死は選べなか
った」。最後の監督作品
「スパイ・ゾルゲ」で昭
和という時代を総括した
かったという映画監督の
篠田正浩さんは、終戦の
思い出をこう語っている。
▼1945年8月15日
正午、昭和天皇は終戦の
詔勅で国民にポツダム宣
言の受諾を伝えた。この
日の「正午」こそ、日本
が戦後の復興に向けた第
一歩を踏み出した時だっ
ただろう。▼今の日本の
正午は、フジテレビの人
気番組「森田一義アワー
 笑っていいとも!」に
象徴される。1982年
10月に始まったこの番
組は、高度成長期からバ
ブル経済、そしてバブル
崩壊後の低迷期にいたる
まで、「うきうきウオッ
チング」なお昼を演出し
てきた。▼ただ、21世
紀になって、いいともは
大きな変化を迫られてい
る。出演者とスタジオア
ルタに集う観客との間に
染み渡った「お約束」の
世界は、スタジオ外の日
本の実態とは大きく乖離
した。民族学者の大月隆
寛さんは、この閉ざされ
た空間を「思想的に完全
に衰退した80年代オモ
シロ主義の最後の聖域」
と指摘し、厳しい批判の
まなざしを向ける。▼否。
聖域はアルタだけではな
いかもしれない。一般企
業とはかけ離れた常識の
なかで、ぬくぬくとリス
トラを先送りする銀行や、
それを黙認する金融庁を
はじめとする政府内部。
ここにも批判すべき80
年代オモシロ主義が息づ
いていると見る国民は多
い。▼日本に再び「正午」
が訪れることを望むので
あれば、まず、いいとも
レギュラーから綾小路き
みまろを外すべきだろう。


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[昼52] <4>プロポーズ & 読者への挑戦? 橋川桂 2003/07/11(Fri) 07:47 [URL] [返信]

「結婚してください!」意を決して、私は言った。
「あ、あの……」尾曾亜美(おぞ・あみ)は、ドギマギとした様子で、「その、10分だけ時間、もらえますか?」

私は了解した。
6年だ。
6年間想い慕った末、ようやくこの言葉を口にできたのだ。
あと10分待つくらいが何だ。

何万年にも、ほんの一瞬のことにも感じられる10分間。
ついに彼女は言った。

「ごめんなさい、お断りします」

10分の間に時計は12時をまわり、日付が変わって4月1日になっていた。

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<読者への挑戦?>

さてさて、どうにかこうにか。
他の方とのネタかぶりもなく、ここまでたどりつくことができました。

読者諸君、情報は提示された!

必要にして十分かはともかく。
知力か直観力を発揮して、この連作のオーラス、

<5>深夜零時の女

オチと、
そこに登場するはずのヒロインの名を予想することは、
可能なはずです。
多分。

正解しても何も出やしませんけどね。


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[昼51] 変遷 古賀 2003/07/11(Fri) 07:31 [返信]

1号 始動スイッチのみ。
動き出すと敵をひたすらどつき回す。

7号 スイッチが複数に。
前進後退を繰り返しながら敵をひたすらどつき回す。

12号 胴体部のつまみを回すことによりいろいろな操作が可能に。
前後左右に自由に動き回りながら敵をひたすらどつき回す。

28号 リモコンによる遠隔操作が可能に。
空を飛び回りながら敵をひたすらどつき回す。

31号 予約操作が可能に。
例:「毎週日曜日12:00〜12:30 ブラックオックスをひたすらどつきまわす予約完了」

33号 Gコード予約も可能に。
例:「857836=7月9日12:00〜13:00 バッカスを思いくそどつきまわす予約完了」
  「2948674=7月10日12:00〜14:00 ロビーをしつこくどつきまわす予約完了」
  「50229=7月11日12:00〜15:30 不乱拳博士を容赦なくどつきまわす予約完了」
  「907456=7月12日12:00〜18:00 大塚署長もついでにどつきまわす予約完了」

35号 DVD録画も可能に。
例:「仮面ライダーとナージャをDVD録画した後アトムを念入りにどつきまわす予約完了」

36号 特に理由はないがこれを最後に家電業界から撤退。



        『教科書が教えない鉄人改良の歴史』 金田正太郎著


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