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[30] 歴史上最ヒ強の作戦。 みじお 2003/04/13(Sun) 15:25 [URL]

太伴昌司・著
〜少年マンガジン別冊『ウルトラ大怪獣大図解』
ヒキョウ怪獣【トロイノモクバ】








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[29] 修身 玄界灘男 2003/04/13(Sun) 13:01 [URL]


「チユウギ」

キグチコヘイハ イサマシク イクサ ニ デマシタ。
テキ ノ タマ ニ アタリマシタ ガ
シンデモ ラッパ ヲ クチ カラ ハナシマセン デシタ。

「ヒキヤウ」

タカダショウイチ ハ テキゼン カラ ニゲ ブタイ ノ シヨクリヨウコ ニ
カクレテ イマシタガ ソノ アイダニ シダンチャウサン ノ ダイジニシテイタ
シロザタウ ヲ ゼンブ ナメテ シマイマシタ。 ソノウエ シダンチャウサン 
ノ ダイジ ニ シテイタ オサケ マデ ゼンブ ノンデ シマイマシタ。
ソノ コト ガ バレナイヨウ ニ タカダ ハ センユウ ノ ハイノウ ノ 
ナカ ニ サタウ ト オサケ ノ アキビン ヲ イレテ オキマシタ。


「ねえ、かあさん、じいさんって本当に卑怯な人だったの?」
「まあ、おじいちゃんはいい言い方で『リベラリスト』だったしねえ。」
「リベラリストってなんだよぉ?」
「まあ、要するにナマケモノってことかな?村の寄り合いなんかにも絶対出なかったし、力仕事の分担なんかも何とか口実つけちゃあ逃げてたしねえ・・・。」
「ねえ、じゃないよ。本当だったら俺学校でいじめられても言い返せないじゃんか。」
「母さんだっておじいちゃんのことで肩身の狭〜い思いをしてきたけどねえ。みんなも飽きたら言わなくなるでしょうから、それまで我慢するのね。」
「だって修身の教科書にこんなに大きく出てるし。ほんと人事だと思ってぇ。」
「あ、それからお父さんにはこのこと聞いちゃだめよ。この間の少将昇進の時だって、おじいちゃんの話が出かかって、あやうくだめになりそうになったんだから。」
「父さん陸軍だもんなあ。軍の中にはじいさんの戦いっぷり実際に見た人もいるんだろうなあ。まったくかっこ悪いなあ。」
「おじいちゃんなら絶対に戦ったりしないから見てる人なんかいないわよ。日露戦争から帰ってきてからも、毎日ぶ〜らぶらぶ〜らぶらしてたもんねえ、おじいちゃん。」
「そういう問題じゃないんだけどなあ、俺の悩み。日本国中の全員がうちのじいさんの行状をしってるんだよ。」
「水戸黄門みたいでいいじゃない。」
「じいさんの場合は『じいさん悪行記』だしなあ。あ〜あ、また『ヒキヤウ』『ヒキヤウ』って言われんだろうなあ、学校で。」
「まあ、人間済んだことは仕方ないわよ。よく言うじゃない、『過去は戻らない』『歴史は変えられない』って。そんなことより早くおやつ食べちゃいなさい。」
「・・・・・は〜い。」

昭和2年(1926)春。
この年、第一東京市立中学に入学した少年は祖父と血族の汚名を晴らすことを生涯の仕事とすることを固く心に誓ったのである。
時に家永三郎十二歳。彼の長き戦いの日々はここに始まるのである。


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[28] スリ。 Nagazu 2003/04/13(Sun) 11:05

さきほど、鉄道警察にスリが逮捕された。
このスリは、数万人の乗客から、合計で1億円を奪ったとみられる。


このスリは、主に電車の乗客が乗降するときに金品を奪ったという。
これは、混雑した車内や、泥酔した客から金品を奪い取るスリ業界の常識を破る手口だ。

このほど、乗客のひとりにインタビューをすることができた。

「あの日は、電車が遅れていて、時間通りに来なかったんです。
 スラれたのは、ホームから電車が来る方向を向いたとき、だったと思います。
 ほら、電車が来ないときって、
 電車の音とか聞こえなくても、『来ないなぁ』とか言いながら、
 思わず電車が来るはずの方向を向いちゃうでしょ。
 あの瞬間ですよ。あの瞬間。
 人間の生理をついた、まったくもって卑怯な犯罪ですよ。」

今後、鉄道各社は財布をスラれないようにするために、
1)財布を持ち歩かないこと
2)ポケットに手を入れて歩くこと
を呼びかけている。


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[27] ある野球 クロ 2003/04/13(Sun) 10:24 [URL]

東京ロマンズ対埼玉ブルックリンズ、9回裏1−0、埼玉ブルックリンズの攻撃中。
自身30連敗の記録が掛かるブルックリンズベンチは「また負けるのか」ムードがたっぷりだったが、
2アウトから怒涛の反撃。ヒット、ヒット、フォアボールで二死満塁。
「ひょっとしたら・・・」希望の光が見えたブルックリンズ・・・
そしてバッターボックスに立つ男─4番大橋拓哉にはこの打席に並々成らぬ闘志を抱いていた。

(俺は・・・この打席に命を賭ける!そして・・・打てたら・・・俺は・・・俺は・・・)

ロマンズ抑えの投手、石本の第一球・・・ストライク、空振り
第二球・・・ボール。第三球・・・ボール。第四球・・・ボール。

(最高の球を狙え。・・・お世話になったマネージャーや監督に華を・・・)

思えば、ヤンキーだった自分を拾ってここまで育ててくれたのは野球でありブルックリンズであった。
最初は野球のヤの字も知らず、度々辞めると叫び、監督とも衝突した。
時にはチームメイトとも喧嘩沙汰になり、何度もヤンキーに戻ろうと思った事か。
しかし、マネージャーに初めて優しくされた俺は、じょじょに心を開き、
監督ともチームメイトともマネージャとも打ち解ける事に成功した。

(そんな俺の第二の親みたいなブルックリンズの勝利に・・・俺が、俺自身が貢献するんだ!)

第五球・・・ストライク。

(二死満塁フルカウント・・・上等だ。次だ・・・次でなにもかも決まる)

第六球・・・二塁牽制、牽制死アウト、ゲームセット。

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[26] さらば愛しきシャア専用(3) s・バレット 2003/04/13(Sun) 04:57

    舟川雅美の現代を斬る!
    第二十六回「アズコン現象に見る現代の影(3)」



近年「機動戦士ガンダム」がDVD化された際に、ジョニー・ライデンという兵士が物陰でシャアに去勢される場面が追加されたのは、記憶に新しい。シャアともあろう男がどうしてこんなことを、と訝しく感じたユーザーも多かったというが、以上のようなシャアの女性へのコンプレックスを踏まえれば、当然のことだろう。
シャア・アズナブルが自分専用としている「赤」は、女性器のシンボルであり、そのシンボルは二重の意味を有している。即ち、「男性器との交合による倒錯した性的快感」と「女性性の持つ創造性」。その二つの欠如がシャアを焦燥させ、「赤」の専有に駆り立てる。
シャアにとって「赤」の専有は、自らの女性器と子宮の獲得であり、同時に自分以外の男が女性器を獲得する可能性の「収奪」に他ならないのである。



さて、ここで話は以前述べた着メロに戻る。

彼ら自分専用の着メロに固執する若者「アズナブル・コンプレックス症候群」(いわゆる「アズコン」)が抱いているコンプレックスは、奇しくも表層的な次元のみではなく深層心理においても、シャアと一致する。
つまり一般的に言って彼らは、周囲の人間に対し、「70年代の洋楽についてことさらに通ぶってみせる」「どうでもいい上に不正確な豆知識を振りかざす」などの痛々しい自傷行為を頻繁に繰り返して見せ、「僕は君たちのような一般人とは一味違う、クリエイティブな人間なんだよ」と饒舌に主張するのだが、実際にはこの主張には賛同し辛い場合がほとんどであるし、また、性的にも彼らはマスターベーション的な快感しか得られない場合が多いと言われており、このようなアズコンの傾向は、女性に対してコンプレックスを抱き「シャア専用」に固執し続けたシャア・アズナブルの生き写しのように見えるのである。



この個性至上主義の時代に生まれ落ち、「無個性な人間はくそ豚にも劣る」世界に投げ入れられながら、自分にはそれが決定的に欠け落ちている絶望を鼻先に突き付けられ、その空疎を埋めるために「人と違う」ことに拘泥するのがアズコンである。彼らもまた、熾烈な精神のパワーゲームである「個性の時代」の犠牲者なのだ。彼らのことを、自己欺瞞に溺れて「クリエイターを自称している割には、他人様の作ったものを見下して貶す位しか出来ない“本当の自分”」と向き合おうとしない「卑怯者」と非難することはたやすいだろう。だが、彼らから「夜な夜な眼を血走らせながらエロゲーの女の子の陰部を連打クリックする“本当の自分”」の姿を正視するパワーを奪い、悲しい自己欺瞞を繰り返すように仕向けているのは、現代日本を席捲する狂信的な「自分らしさ」信仰ではないのか。
 この点に限るなら、彼らの決まり文句は驚くほど的を得ている。

 曰く「みんな社会が悪いし、大人は汚い」



 だから、賢明なる読者諸君、せめて諸君だけは、彼らについて決してイラついてはいけない。彼らのことをいたずらに揶揄したり、冗談ばなしのタネにしてみんなしてゲラゲラ笑おうなど、もってのほかである。もしもあなたが、どこかの街角で「俺はさ、ナンバー1を目指してるわけじゃないの。オンリー1になりたいわけ」とうそぶくアズコンを見かけたなら、その時は、慈しみと憐憫の情を込めた生暖かな微笑みで、彼らの浮っついたあけすけな行動を、静かに物陰から見守ってやって欲しい。

私はそれを、切に願う。


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[25] さらば愛しきシャア専用(2) s・バレット 2003/04/13(Sun) 04:55

    舟川雅美の現代を斬る!
    第二十五回「アズコン現象に見る現代の影(2)」


この世には、執拗に「人と違う」ことに拘泥する人間が存在する。
思うに、彼らはただ「個性的」であるだけでは満たされない、なにかひどい飢餓感のようなものを抱いているのではないか。この飢餓感のために、彼らは自分の着メロは「自分専用」でなくてはならない、という強迫観念じみた思いに囚われる。
 ところで近頃、とみに暖かくなってきましたね。先日、庭の梅の木にうぐいすがやってきて「ヒーーヒケキョ」と美しい鳴き声を聞かせてくれ、しみじみと春の訪れを感じたものです。はい、お題クリアー。
「専用」への飢餓感の虜囚となった彼らが、他人と違うことに拘泥するのは、着メロについてだけではない。好みの映画、好きな作家、お気に入りのブランドから日常的な仕種にいたるまで、彼らは自分を囲むすべてが「自分専用」であることを、自らに強迫的に強要する。
このような彼らの異常なまでの「自分専用」への飢餓感は、いわゆる「アズナブル・コンプレックス」の所為である、といわれている。



「アズナブル・コンプレックス」の由来は、人気アニメーション「機動戦士ガンダム」の登場人物シャア・アズナブルである。地球連邦軍と交戦中のジオン公国軍の士官であったこの男は、戦場におもむく際、自らの乗り込む「モビルスーツ」と呼ばれる人型機動兵器を真っ赤にカラーリングして、自分の乗るモビルスーツを「シャア専用ザク」、自分のことを「赤い彗星」と呼ぶように部下に強請していた。この逸話は、現代の若い世代にとっては常識だろう。
しかし彼が求めた自分専用は、自機の色や呼び名だけではなかった。彼は自分のモビルスーツの性能についても、「専用」であることを部下に強要したのだ。そして、そのために犠牲になった兵士も少なくないという。
というのは他でもない。一般に彼の乗り込んだモビルスーツは、通常の三倍の速さで動く、と言われているが、しかし実際には、自分のモビルスーツの「専用」に執着するシャアにそのように命令されたシャア以外の兵士がやむなく、本来発揮できるスピードの三分の一で戦闘していたのである。これが真相だ。



数多の部下を犠牲にしてまで「専用」にこだわり続けた男、シャア・アズナブル。彼は一体、何に突き動かされて、それほどまで「専用」に、そして「赤」に執着したのか。これには定説があり、一般にはシャアの無意識下に抑圧された「女性化願望」がその原因であるといわれている。



シャア・アズナブルが深層心理において「女性になりたい」と思っていたのは、彼が見た次のような夢から推察できる。



夢の中でシャアはモビルスーツに乗って宇宙空間にいた。彼は褐色の肌をした黒髪のインド人らしき女性をともなって、宇宙で戦闘をしているのだった。そこへ十五〜六歳くらいの少年兵がやってきて、女性とその少年兵が口論を始めた。だが、なぜかシャアにはその声はまったく聞こえなかった。シャアにはそれが「ニュウタイプ」の所為だとわかっていた。自分が「ニウタイプ」を持っていないことに腹を立てたシャアは少年兵に向かって銃を発砲した。すると、少年兵も撃ち返してきた。そこでシャアと敵兵士は、決闘することにした。やがてシャアは劣勢に追い込まれ、少年兵の剣に刺されそうになった。すると刺されたはずのシャアはいつのまにか、インド人女性と入れ替わっていた。女性は剣に刺されながら「ああ、時が見える」と言った。そこでシャアは目が覚めた。夢から覚めたシャアには「ニウタイプ」がなんなのか、まったく分からなかった。



シャアがイスタンブールへの旅行中に汽車の中で見たこの夢には「インド人女性」が登場するが、敵兵士に刺されかけたシャアの運命を彼女が代理することからも明らかなように、これはまぎれもなく女性化したシャア自身である。そして、女性化したシャアを刺した剣は間違いなく男根の象徴であり、「ああ、時が見える」のセリフは男性器に貫かれることによって、シャアがオルガスムスの絶頂に達したことを意味する。シャアと敵兵士の銃撃戦は言うまでもなくマスターベーションの象徴だが、男性器によるマスターベーションでは彼の性的欲求は満たされず、女性化し、男性器に貫かれることによってようやく、彼の性欲は満足するのである。この夢には、シャアの「女になって男性器に犯されたい」という抑圧された願望が如実にあらわれている。
 この分析結果からは、シャア専用ザクの「赤」は、性交時における破瓜の際の出血のメタファーである、というきわめて信憑性の高い類推が導き出されよう。



シャア専用の赤については、もう一つ説がないではない。そちらの説ではシャア専用ザクの赤は、「血の赤」ではなく、「炎の赤」だとされる。シャアには悪質な放火癖があったらしいからだ。
「ガンダム」にはガルマ・ザビという人物が登場する。彼はジオン公国を独裁するザビ家の末息子であり、ジオン軍の士官であった。そのガルマが、ガンダムを我が手で討ち取らんとはやまって、主人公たちの乗る戦艦ホワイトベースに焼き討ちをかけるのだが、逆に返り討ちにあって戦死してしまうのである。
葬礼の際に、シャアはガルマ敗北の理由について、こう分析している。

「(ガルマの起こした火は小さく、すぐに消しとめられて)ボヤだからさ。」

その嘲りと余裕に満ちた口調は、紛れもなく「自分が一番上手く火種を使えるのだ」と語っている。シャアがその種の後ろ暗い行動について長けていたのは、彼が後に、特殊部隊を率いて連邦軍の本部基地に侵入していたことからも、ほぼ間違いないと思われる。
 シャアは人前に出る時に常にマスクで目を覆い、人と視線を合わせないようにするなどして、周囲の人間に対してどこかしら釈然としない、打ち解けない秘密めいた態度をとっていたが、彼が放火犯のような因循で姑息な犯罪者としての過去を持つ前科者であったとすれば、この不可解な行動についても合点がいくだろう。



そして、もしも赤=炎の隠喩であるならば我々はここでも、シャアの隠された女性化願望を読み取ることが出来よう。
火の神ヒノカグツチを産み、女陰を焼かれて死んだイザナミの神話。
燃え盛る産殿の中で出産したコノハナサクヤビメの火中出産神話。
我が国の神話において、「炎」は「女陰」と密接に結びついてくる。そして、この二つの神話を前にした時、我々は炎を伴う女陰が「出産」と不可分に結びついているのに気がつくだろう。


すなわち、シャア・アズナブルの放火癖は、「出産」という、女性性が持つ圧倒的な創造性へのコンプレックスの裏返しと言えるのである。

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[24] さらば愛しきシャア専用(1) s・バレット 2003/04/13(Sun) 04:53

    舟川雅美の現代を斬る!
    第二十四回「アズコン現象に見る現代の影(1)」


「無個性な人間はくそ豚にも劣る」

大ベストセラー『生きるヒントでピント』の作者・枯木骨之の放言である。
なるほど、至言であろう。
現代は、熾烈な精神のパワーゲームの時代である。親切で控えめで善良な人間が「いいひと」と呼ばれ蛆虫よりも蔑まれる、熾烈な精神のパワーゲームの時代である。現代において、無神経で横暴で身勝手で傍若無人で独善的で厚かましくて意地汚い「個性的」な人間は、サバンナの頂点に君臨する百獣の王・ライオンに等しい。そのような社会の風潮の中、「各人の個性はいかにも個性的であるかのごとく個性的たるべき」だという枯木の主張は、当然であろう。
当然であるのだが、しかし、ここへ来て大きな問題が浮上してきている。つまり、個性とはイコール「自分らしさ」を主張することだが、「自分らしさ」を主張するあまりに、「本当の自分」を見失ってしまう若者が後を絶たなくなっているのである。



「携帯電話」というものがある。なんなのかは説明するまでもなかろう。携帯できる電話である。これについては「携帯できる電話」であるという説と、「携帯しなければならない電話」であるという説と、「携帯する以外に使い道のない電話」であるという説の三説があり、学界では現在熾烈な論争が繰り広げられているらしいが、素人にとってはどれにしたって大差がないのでどうでもいい。ここでは「携帯」と「電話」が何らかの密接な関係で結ばれた結果、「携帯電話」が生み出されたらしいというニュアンスさえ掴めていれば、それで問題はない。
その携帯電話であるが、「着メロ」という機能がある。先方から電話があった際、「ぴぴぴぴ」という着信音の代わりに、任意の音楽が流れ出すという代物である。最近では「着ボイス」などというものもあるらしい。普通に考えれば他愛ないお遊びに過ぎないのだが、この「着メロ」が、携帯電話の普及に大いに貢献した、と考える有識者が少なくないのだ。
「着メロ」の何がそれほど人を惹きつけるのだろう?ヒントは着メロで流される曲が、少ないとは言えない数の曲の中から、自分の好みに合わせて選べる「カスタマイズ」性にある。



「個性」の時代である。近代的主体信仰が広まった戦後日本では誰もが、自分がいかに個性的な人間であるかを周囲に対して主張すべく、虎視耽々とその機会を狙っている。
この傾向が若者ほど強いということは、近年流行した「オヤジ狩り」や西洋では伝統的な存在である「フーリガン」などを見ても明らかだろう。決して彼らは、無神経で横暴で身勝手で傍若無人で独善的で厚かましくて意地汚い人間だから、あのような行動に走るのではない。彼らシャイな若者は、自分たちを圧殺しようとする大人社会に対して、自分たちは紛れもなく、無神経で横暴で身勝手で傍若無人で独善的で厚かましくて意地汚い個性的な「人間」なのだと主張したいという、青年らしい悲壮な、悲痛な思いからあのような捨て鉢な行動に走るのだ。彼らによって、多数の中年男性が被害に遭い、また、サッカー場近辺で流血ざたが起こるからといって、それが一体どうだというのか。彼らこそは、現代社会の歪みが生み出した、憐れな犠牲者なのである。



閑話休題。着メロである。何曲もある曲の中からお気に入りの音楽を選び出して設定しておけば、着信のたびに「自分だけの曲」が流れる。いかにも「個性的」だ。着メロというサービスは「個性」の時代にこれ以上なくぴったりマッチする。着メロが若者層への携帯電話普及に一役買ったのは、疑いようのない事実だろう。
着メロだけではない。ストラップや待ち受け画像など、携帯電話のカスタマイズ性はどんどんと拡張してゆく。
いまや「携帯電話」は若者にとって、ただの電話ではない。自分の個性を存分に主張できる、一つの「メディア」である。
彼らは既製の携帯電話をカスタマイズすることで、自分だけの携帯電話を所有する。そして携帯電話から着メロが流れてくるたびに、自分がまぎれもなく「個性的」であることを確認するのである。



ここまでは別にどうということはない。問題はその先である。
例えば、我々は電車に乗っている時などに、赤の他人が自分と同じ曲を着メロに使用している場面に出くわす時がある。この時、普通の人なら「あ、あの人は僕と同じ曲を使っているな」ですむ。むしろ、自分と同じ楽曲を好いている人間がいるらしいと知って、なんとはなしに嬉しい気分になるものだ。
だが、そうではない人間がいるのである。彼らはそれを耳にした途端、激しく歯ぎしりをしたかと思うと、同じ着メロを使用している人間を取って食わんばかりの目で睨み、驚異的なスピードで自分の着メロの設定を変更し始めるのである。
なにがそんなに気に入らないのか?風の噂によれば、答えはどうもこういうことらしい。

「人と同じだからいや」

実に他愛もない。理由にもならない。
しかしこんな他愛もない理由で彼らは、何度となく着メロを変更するのである。彼らの追求は飽くことを知らない。
このような人種にとっては、楽曲の出来不出来はどうでもいいらしい。とにかく、他人とは違う着メロであることが肝要であり、それを追求するあまりに、2003年現在に「だんご三兄弟」を着メロに用いるなどという、「自爆テロ」じみた行動に走る者までいる始末だ。
このような強迫的に「個性」に拘泥する一部の若者達の傾向を、近年の専門家たちは「アズナブル・コンプレックス」と呼んでいる。



……いやさ、次回でちゃんとお題でてくるんだってば。


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[23] とんちではない GIN 2003/04/13(Sun) 02:40 [URL]

ACT1

一休「なになに、このはしわたるべからずだって?」

守衛「申し訳ありません。午後からはしの改装工事にはいります
ので今日のところはあちらのはしをご利用ください」

一休「わたくし今回の工事を担当させていただきます一休と申す者
なんですけれども。下見のほうさせていただいてよろしいでしょうか」

門番「ああ、失礼いたしました。わたしはてっきり買い物帰りの
小坊主さんだとばかり思っておりました。どうぞお通りください」

一休「ありがとう」



********************************************************************************

ACT2

一休「なになに、このはしわたるべからずだって?」

守衛「ええ、この前の洪水で水量が増えているのでこちらのはしは
交通を規制させていただいてます。今日のところはあちらのはしを
ご利用ください」

一休「ふうん。ところで守衛さん、先ほどから下の川で子供が溺れて
るんだけど、助けてあげなくてもいいのかな」

守衛「え、なに落ち着いてるんですか。だめですよ助けなきゃ」

一休「そうだね、助けなきゃね」

守衛「買い物帰りの小坊主さん。どこですか、溺れてる子供は」

一休「う〜ん、ここからだと見えないなあ。よし、わたしがはしの
向こう側にいって子供の位置をたしかめてきましょう」

守衛「申し訳ありません。よろしくお願いします」

一休「お任せください」



********************************************************************************

ACT3

一休「なになに、このはしわたるべからずだって?」

守衛「ええ、今日は将軍様の誕生記念パレードが行われますので
蟻の子一匹通すなときつく言いつけられております。今日のところ
はあちらのはしをご利用ください」

一休「ホワッツ?」

守衛「ああ、外人さんですか。わたしはてっきり買い物帰りの
小坊主さんだとばかり思っておりました。誠に失礼いたしました」

一休「ホワッツ?」

守衛「いや、だめですって、だめっだっての」

一休「ホワッツ!?」

守衛「ノー、はしわたるのノーね」

一休「シャァラップ!!!」

守衛「あう・・」



********************************************************************************

ACT4

一休「なになに、このはしわたるべからずだって?」

守衛「ええ、今朝はしの上で庄屋の娘が惨殺される事件が発生した
ので、現場検証が終わるまでひとを通すなと言われております」

一休「あちきが頼んでもかい?」

守衛「!?」

一休「あんたも好きなんだろう?」

守衛「か、か、買い物帰りの小坊主さん・・なにを!?」

一休「買い物帰りの小坊主だなんて呼ばないでおくれよ。一休でいいよぉ」

守衛「い、いけません。わたしは妻も子供もいる身ですので」

一休「これでもかい」

守衛「うひっ!」

一休「我慢しなくたっていいんだよ。あちき、はしの向こう側で待ってるから
仕事終えたら迎えにきておくれよ。守・衛・さん」

守衛「は、はひっ!」



********************************************************************************

ACT5

守衛「次にこのはしを無断でわたらせたクビだな」


プルルル・プルルル・プルルル・プルルル・プルルル・


守衛「はい、守衛ですが、どちらさまですか」

一休「名前はいえない。買い物帰りの小坊主とだけ言っておこう」

守衛「その買い物帰りの小坊主さんがなにか」

一休「そのはし、渡らせてもらおうか」

守衛「え、だめですよ。これ以上無関係な人を通せません」

一休「ほお、娘の命が惜しくはないのか」

守衛「なに言ってるんですか。意味がよくわかりませんが」

娘「お父ちゃん、助けてぇ」

守衛「千歳、千歳なのか。千歳になにをした」

一休「一時間後もう一度こちらから連絡する。良い答えを期待している」

・・・ピッ

守衛「千歳〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ」



********************************************************************************

ACT6

一休「なになに、このはしわたるべからずだって?」

守衛「買い物帰りの小坊主さん。あなたは自分がはしをわたりたいという
理由だけで、わたしから最愛の娘を奪ってしまいました。
今日はとくにはしをわたらせない理由もないのですが、わたしはあなたを
許すことができない。・・・・・死んでもらいます」


(守衛、懐から脇差を取り出し一休を見据える)


一休「無抵抗な買い物帰りの小坊主を殺めたと知れたらあなたも罪に
問われますよ」

守衛「覚悟のうえです。わたしにはもう失うものはありませんから」

一休「なるほど、そこまで覚悟しているなら仕方ありませんな」


(一休おもむろに袖に隠した拳銃を出し、躊躇なく守衛の額に1発、2発と
銃弾を撃ち込む。ゴムまりのように弾け飛んだ元守衛の瞳はその輝きを急速に
失っていく。一休、冷ややかに守衛の死体を見下ろしながら携帯を手にとる)


一休「もしもし、あ、新右衛門さん。今、はしの袂に守衛の死体があるん
だけど。ええ、うまいこと処理しといてくださいよ。ええ、わかってます。
例の件はお任せください。それでは、頼みましたよ」


・・・ピッ。


<FIN>


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[22] 自分の手柄にする。 Belial 2003/04/13(Sun) 02:30

ドイツもコイツも、俺のネタをぱくりやがって!
卑怯だぞ、嘘ツキャーども!!
お前達が書き込んだネタは俺が20年後に思いつく予定のネタだったんだ!!


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[21] 嘘ツキャーに朗報? アッシュ 2003/04/13(Sun) 01:34

 中高年特有の脂臭さ、いわゆる「オヤジ臭さ」が、加齢によって生成されやすくなる成分ノネナールによるものであることをつきとめた大手化粧品メーカーが、このたび新たに、人を騙す・陥れるなどの狡猾な言動によって生じる「卑怯臭さ」特有の成分、ヒキョナールの存在が判明したと、広報を通じて発表した。

 発表によると、年間に嘘を800以上つき、特に現在は卑怯な嘘を集中してついている、いわゆる嘘ツキャーの皮脂を調べたところ、正直者にはほとんど発生しない脂肪酸の一種が増えていることがわかった。この脂肪酸が酸化分解されたり、皮膚上の微生物に分解されたりするとヒキョナールが生成され、卑怯臭さとして他人に勘づかれるようになる。

 メーカーでは、この脂肪酸の分解を防ぐ抗酸化剤と抗菌薬剤を実用化し、嘘ツキャーがまっとうな社会生活を送れるようボディーシャンプーやスプレーなどとして廉価で近日中に販売するとしているが、価格および製品化時期については明言されなかった。
 この発表を行った広報担当者からヒキョナール臭が確認されたことから、販売戦略には市場や価格の主導権を睨んだ海千山千の卑怯な手段が用いられるものと見られる。嘘ツキャーたちは当面、卑怯臭さが拡散しないよう自衛することを余儀なくされそうだ。


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