第25回嘘競演　作品展示室 [嘘競演トップ] [投稿する] [新規順リスト] [番号順リスト] [最新作品]  [感想(ラウンジ)] [投票結果] [使い方] [クロニクル] [検索] [お題]

ボトっ
やった自由だ！
ジャ−−−−−−

自由の国アメリカの象徴とも言える自由の女神の父方の祖父が戦争の神アレス、
母方の祖父が貧乏神であることは意外に知られていない。

従姉妹に自作自演の女神がいることはもっと知られていない。

　９月某日、我々は建設重機「機械獣シリーズ」で有名なＤｒ．ヘル研究所を訪問した。不振に喘ぐ昨今の建設業界にあって、ビル解体で堅実に実績を伸ばしてきた注目株の企業体である。

「お待ちしておりました（男声）」「お待ちしておりました（女声）」
　爽やかな和音で我々を出迎えてくれたのは、あしゅら男爵さん。トランスジェンダーに悩む彼（彼女）にとって、この研究所は絶好の職場、と明るく語る。やはり、代表のＤｒ．ヘル氏自身が学会を追放された身であることが、このような差別意識のない自由な企業風土を形成したのであろうか。第一級身体障害者のブロッケン伯爵さんもまた、この研究所で生き甲斐を見つけた者の一人。
「前の職場で首を切られて、以来この有り様です。ハハハ。」
と明るく笑う。

「今後、より一層進展する高齢化社会に対応するため、私達は日夜努力しておるのです」
　そう語るＤｒ．ヘル氏の背後で警報音がけたたましく鳴り響いていた。

��バリアフリー社会の実現を目指して��

　Ｄｒ．ヘル研究所は、今日も光子力研究所のバリヤーに挑み続けている。

朝日新聞　「声」　（2002.10.1　東京版）

　会社役員　山田和男（愛知県豊橋市　５２歳）

私は２０数年来自他ともに認める「美食家」としておいしいものを
探求してきている。最近では、舌で味わう料理にも増して目で楽し
む器へのこだわりと審美眼が身についてきたと自負もしている。

創り手の心を表現をするしつらえ、料理を引き立たせる器の役割が
いかに重要であるか最近になってようやく分かってきたような気が
する。

真黒ぬり遠山蒔絵の吸い物椀を手にすれば、自然と居住まいを正し
青交趾菊花形向付の大皿に盛られたお造りには、箸の運びも礼を尽
くしたものとなる。日本人の心の美を実感するひとときだと思う。

最近では高級な料理に限らず「お代わり自由」の大衆料理店でも、
器ごと取り替えてくれる店を選ぶこだわりをもっている。ザルに入
ったキャベツをトングでよそって回るような店は二度と訪れない。

先日も珍しいものが食べられると評判の店に行ってみたが、これが
まったくもって心遣いのない店であった。出てきた料理と器が私の
美意識に反していたのである。特に器の出来が悪く不細工極まりな
い。折角の新鮮な刺身が台無しである。

店の者に器をとり替えるよう頼んだところ、逆に追い出されてしま
った。私のささやかな贅沢、料理を引き立たせる器を選ぶ自由が、
そんなにも悪いことだったのだろうか。
思い出すと今でも不愉快な気分になる。そしてこう誓うのである。




二度とあの店に「女体盛」は食べに行かない、と。

ぼっ、ぼくはなんて言うか、そのじっ、自由なんだな。
かっ、描きたいものがあれば、ひっ、一人でどこへでもいっ、行くんだな。
でも、じっ、実際ぼくはでっ、デッサンが下手なんだな。
そっ、それほどいい絵でも、なっ、ないんだな。
でもぼっ、ぼくとこうやって話をすると、みっ、みんなそのことは言わないんだな。

よっ、世の中の人はお人よしだから、ぼっ、ぼくに優しくしてくれるんだな。
ちょ、ちょっとこういう風にしてると、気の毒がってくれるんだな。
だっ、だからぼくは、宿屋に泊まっても、おっ、お金を払わなくていいんだな。
というか、はっ、払ったことがないんだな。
でもぼっ、ぼくとこうやって話をすると、みんなおっ、お金のことは言わないんだな。

みっ、みんなはぼくに、せっ、性欲がないと思ってるんだな。
だっ、だから女の人のむっ、胸とかさわっても、へっ、平気なんだな。
むっ、無邪気にふるまってると、おっ、女の人は無防備なんだな。
判らないふりしてると、さっ、触り放題なんだな。
でもぼっ、ぼくがやると、みっ、みんな許してくれるんだな。

ぼっ、ぼくの絵はけっこう、たっ、高いんだな。
でっ、でも芸術性は、ひっ、低いんだな。でもうっ、売れるんだな。
みっ、三越なんかで個展をやると、ばっ、馬鹿な客が買うんだな。
ぼっ、ぼくならあんな絵は、かっ、買わないんだな。
でっ、できるだけ、げっ、現金でもらうんだな。
ぜっ、税務署にきかれても、わっ、判らないふりをいすれば平気なんだな。
ぼっ、ぼくとこうやって話をすると、ぜっ、税務署の人もそれ以上は言わないんだな。

ぼっ、ぼくはおにぎりがすっ、好きなんだな。
でもほっ、本当は鰻の白焼きや、はっ、鱧の梅肉あえなんかが、すっ、好きなんだな。
でもそんなものは、たっ、ただではくれないんだな。
たっ、ただでもらえるのは、おっ、おにぎりくらいなんだな。
だっ、だから人にいう時は、おっ、おにぎりをくださいっていうんだな。
うっ、鰻や鱧やステーキなんかは、ひっ、人が見て無いときに自腹で食べるんだな。
だっ、だからリュックの中には、すっ、スーツと靴が入ってるんだな。

ぼっ、ぼくはなんて言うか、そのじっ、自由なんだな。
いっ、行きたいところががあれば、ひっ、一人でどこへでも行くんだな。
はっ、裸でいればみんなが、やっ、優しくしてくれるんだな。
そっ、それは低い立場の者に優しくしてやっているという、じっ、自己満足なんだな。
だっ、だからぼくはこうしていても、らっ、楽をして生きていけるんだな。
でもぼっ、ぼくとこうやって話をすると、みっ、みんなそのことは言わないんだな。
言わないんだな。

チバ・シティの空の色なんて、聞かれてもすぐには思い出せない。

俺は物心がついて以来、過ぎる時間の全てをコフイン（棺桶）の
中で消費してきたから。知ってるかい？立つこともままならない、
素敵に狭い空間を。

外界との接点は、細いケーブルだけ。オンラインとでもジャック・
インとでも何とでも好きに呼べばいい。だけど俺のコフインは、
そのケーブルから世界に繋がっていた。産毛に風が当たるのを感じ、
太陽の光が俺の目を焼くようにすら思えたもんさ。

そして浅い眠りの中で見る夢は、いつも決まっていた。


落ちる夢


大きな力に跳ね上げられ、空高く舞い上がる。
星に手が届くと思った瞬間、俺の体は落ち始める。奈落の底へ。
落下の法則に従いながら。もちろん俺の存在理由も、そこにある。
コフインから出れば俺は、真に自由な個体だからだ。
たとえ体が噛み砕かれようとも………。



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「自由落花生」　ウィリアム・ギブスン著　1982.　ハヤカワ文庫

キール　Keel　【名】（船舶、航空機の）躯体構造の一部、竜骨
　ヨットなどトップヘビーな小型船舶では船底に胸鰭のような
　張り出しを設け転覆を防ぐ。
　（類）センタ−キール、バラストキール
　艇の安定を保つ重りの役目を持つと同時に横風の影響による
　船体の横流れ、波の影響によるローリングも抑える働きがある。

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[さいたま県民スポーツ　2002.7.19県南版]

７月１８日さいたま市民プールにおいて開催された平成１４年度
高校競泳関東大会県決勝。春日部高校３年石川司君（17）が５０ｍ
自由形で大会新記録を達成。
タイムは２２秒３２。８月のインターハイに向けて県民の期待が
高まっている。
大会審判長を務めた浦和実業高校水泳部顧問高木義一教諭（52）は
次のようなコメントをしている。
「石川君はこれまで無名の選手だったが、今回の記録は驚異的だ。
埼玉からこのような逸材が生まれたことを誇りに思う。２００４年
のオリンピックも狙えるのではないか。石川選手のすばらしい所は、
安定した泳ぎにある。力強い上腕のストロークにも影響されず、
下半身が安定している。特に腰が常に定位置にあり無駄のないキック
に繋がっているようだ。全く新しい泳法を身に付けたのではないか。」

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[茨城日報　2002.8.18夕刊]

平成１４年度全国高等学校総合体育大会予選結果

「期待の新星　無念の失格」
１８日笠松運動公園屋内水泳プールで行われた水泳競技５０ｍ自由形
予選２組において、埼玉県代表春日部高校３年石川司選手（17）が
スタート直前に失格となった。
同選手が、私物のバッグに大量の無修正猥褻図書をしのばせ、審判に
よる競技注意の際にも一心不乱に読み漁っていたことが日本水泳連盟
競技規則違反にあたり、高校生にあるまじき行為とされた。
県大会決勝での記録から「世界記録も狙える」と期待されていただけ
に関係者は失望の色を隠せない様子。

記者のインタビューに対し、同選手は「僕の泳ぎには必要な準備だった
んです…」と頬を紅潮させ内股、前かがみの姿勢で語っていた。

月日は黒雲に覆われ　見ゆることなし

我等祖国の地にありて　重き頚木に繋がれぬ

流るる血は草木を枯らし　奔流となりて海へ注ぐ

嗚呼我等　この苦難に在りて尚　祖国と自由を讃えん



祖国と自由を讃うる声　歌と成りて天地を満たし

侵せし者が銃の咆哮　剣の閃光も忽ち力を失す

我等同胞の屍を踏越え　彼等を討ち果たさん

祖国の民を圧せし者達よ　今ぞ聞け　我等が歌声を....



民族独立の自由〜　ア・ハ・ハ〜ン

♪自由の「じ」の字はどー書くの？
　あらよっと！
♪こーしてこーしてこー書くの。
　はい！
♪自由の「ゆ」の字はどー書くの？
　あどっこい！
♪こーしてこーーしてこー書くの。
　あそっれっ！
♪自由の「う」の字はどー書くの？
　あどした！
♪こーしてこーしてこー書くの。

「よーし。そこまでだ！」

所長の一声で、囃し立てていた看守達が黙った。

「捕虜諸君。本日の訓練によって、この特命プロ
ジェクトの全課程は終了した。諸君の上達ぶりは
私の予想を遙かに上回った。素晴らしいの一言だ。
　当収容所における標準待遇、つまりは今の諸君
たちの姿だが、手足を拘束され、猿ぐつわで口を
塞がれている状況でも意志の疎通を図ることは十
分に可能だということが実証されたと言えよう。
　さて。今日は諸君達に取っては良い通達がある。
偉大なる主席さまは、最近の国際情勢を鑑み、我
が国も涙を呑んで勇気ある変革の道に進むことを
決断なされた。歴史に残る大英断である。
　そこで、当収容所における変革の手始めとして、
今回の特命プロジェクトが発案され、諸君らの班
にその最初の栄光を授けることにしたのだ。
　捕虜収容所においてはジュネーブ条約第３条を
可能な限り尊重せよ。との慈悲深き偉大なる主席
さまのお言葉に感謝するように。
　おや？もう休み時間かな？
　ということで、今日からは休み時間の５分間に
限り、捕虜同士の自由なおしゃべりを許可する」

合衆国国民は自由の女神を破壊する自由を有す。