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第25回嘘競演 作品展示室

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[190] 学生時代の思い出(其の三) ひえだ 2002/10/04(Fri) 20:07 [URL]

年は明け、やがて寮長様は私共の寮へ、イタリア人シスターも本国へお帰りになられました。元板前さんが「どんな油を使ったんですか?洗っても洗っても匂いが消えないっすよ」と調理器具を何度も洗っておられました。私共もお手伝いしました。ついでに滅多に使わない大きなお鍋や大皿を寮生総出で洗ったのも今では良い思い出です。
そんなある夜のこと。寮のお勝手口に一台のトラックが止まりました。こんな夜に何のお荷物かしら?私は窓から見下ろしていました。布袋が荷台からおろされ、何やら周囲を気にしながら寮の中に運び込まれました。「何だか映画みたいね」ルームメイトが言いました。
すると程なく、只事ならぬ雰囲気のノックが聞こえました。「どなた?寮長様に又、「静かになさい」って叱られますわ・・・・!?りょ、寮長様!!」「しっ、お静かに。中に入れて下さい。そっとドアを閉めて・・・」
「は、はい、アッ!!」私は思わず悲鳴を上げそうになりました。寮長様は先程の袋をかついでおられました。その袋を明けると・・・中から出てきたのは酷く痩せ、顔色も真っ青な女性でした。刺激臭が鼻をつきました。
「このシスターはね、隣国の同胞の魂を救う為に潜入されて地下で教会活動をしておられたのです。それが当局に見つかってしまって・・・詳しい事は言えませんが、暫くこちらでお預かりすることになりました。寮生長の貴女とミチコさん(ルームメイトの名です)にだけお話します。お世話して差し上げて下さい。他の寮生には見習いのシスターだと言っておきますから。シスタ−、食べ物を持って来ますから少し待っていて下さいね」
寮長様はすぐに戻ってこられました。相変わらず洋食器でしたが、きちんと温められたご飯とおかずがトレイに納まる様に盛りつけてありました。「残り物ですが、さあどうぞ」そのシスターは食前のお祈りをされるとスプーンでおかずもおみおつけもご飯の上に全部かけ、凄い勢いでかき混ぜてからお皿も持たずにスプーンでご飯を口に運びました。私は思わず口走りました。「お気の毒に・・・余程お腹がすいておられたのですね」。そっと寮長様のお顔を伺うと、寮長様は意外にもこうおっしゃったのです。「サチコさん、このシスターのお国のお作法では、これでいいのですよ。長く獄に繋がれていても、この方はお作法を守っておられるのです。あなた方も見習いなさい」深く、慈しむ様なお眼差しでした。私達は自分が恥ずかしくなりました。お食事を自由な順番で食べたい!などなんて贅沢な不満だったのでしょう。不自由なくご飯が食べられるというのに・・・シスタ−へのお心遣いと、いざという時の勇気。寮長様は本物の国際人でいらっしゃったのです。(続)







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[189] 学生時代の思い出(其の二) ひえだ 2002/10/04(Fri) 19:51 [URL]

ある年の暮れの事です。寮長様は急な御用で暫く本部修道院へお帰りになることになり、代わりにイタリア人のシスターがお見えになりました。お正月休みで料理人さんが居ないお台所にもお入りになり、有りあわせの材料で美味しいマカロニ料理を作って下さいました。私どもがお腹一杯になった所に、「これはプリモピアット!まだまだ有りますよ。マンジャーレ!!好きな物、好きなだけ食べなさい」と玉子や、ハム、チーズなどを器用に料理して出して下さったのには驚きました。どれも食べた事の無い風味でした。何というか・・・
「ねえ、イタリアの方は冬でも日光浴をなさるのかしらね」
はち切れそうなお腹をさすりながらルームメイトが言いました。
「あら、どうして?」
「シスターが、私に「オリーブオイルはどこですか?」と仰ったの。だから、きっと日光浴をなさるのだと思って姫鏡台からサンオイルをお出ししたの。そしたら、「もう少し有りませんか?」と聞かれたから慌てて買って来たのよ、化粧品屋さんで」

お正月には普通帰省するのですが、卒業を迎える寮生たちは残って通学生たちと共にお聖堂でお祈りした後、新年を祝うのが習慣になっていました。シスターはお風邪を召されたのでお聖堂のお祈りには参加されず、修道院で休んでおいでとのことでした。
お祈りの会も終わり、学寮に戻った私達は驚きました
「フェリシータ!アーニョヌオーヴォ!!あなた方を驚かせようと思って準備して待っていたのですよ!!さあ、プリモピアットのパスタですよ、マンジャ、マンジャ−ペルファヴォーレ!!」
寝ているはずのシスターがとても嬉しそうにお皿を持って出てこられたのには驚きましたが、そのお皿を見て言葉を失いました。そこには料理人さんが「皆様の年越しに」と届けて下さった打ち立てのおそばがトマトケチャップ塗れになって盛られていました。「フリッター!」。。。そう、かき揚げです。そして、寮生の実家や先輩方から送られた幾重もの「おせち」が一つ一つ、あるいはクラッカーなどと一緒に盛り合わせになっていました・・・勿論、「あのオイルの香り」がしました・・・「ボックスから出して盛りつけておいたの。スイーツは後でクリームと一緒にお出ししますからね」・・・冷蔵庫の中にはジャムとクリームをたっぷりかけられた「栗きんとん」がアイスクリーム容器に盛られていました。「あの・・・シスタ−・・・ボックスの方は・・・」「大丈夫、焼却炉で燃やしておいたわ。さあ、召し上がれ!ご自由に!!」

(続)






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[188] マダムキラー 藤山高志 2002/10/04(Fri) 19:35




もし、私を愛してくれるのなら
 私は貴女に無限の自由を与えよう。



               ゴムのスカート

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[187] テーマパーク訪問 2002/10/04(Fri) 19:23

「ねぇねぇ、お母さん。ほんとにどれだけ開けてもいいの?」
「いいのよ。でもここ以外でやったら承知しませんからね。」

 ここ「西北柏フリーパーク」の内本蟻三社長は語る。
「ご承知のようにここ数年は大型テーマパークに押され、入場者は減り
つづける一方でした。同じようなアトラクションを置いていてはスケー
ルの大きいほうに集まるのは当然です。でもね、子供ってスケールの大
きさを求めてるんじゃない、こういう身近なもののほうが本当は楽しい
んじゃないかと思って、思い切ってリニューアルしたんです。」

 <ごじゆうにあけしめしてください> のプレートとともにズラリと
並ぶ冷蔵庫や洗濯機などの家電製品。廃品を再利用したものだけでなく、
なんと私が昨日電機店で見てきたばかりの新製品もいくつかある。

 こちらは電車「山手自由線」。子供たちが騒ぎ、走り回る。もちろん
咎める者はいない。吊り革もかなり低めに設置してある。僅かな距離を
ゆっくり往復するだけなためもあってか、大人しく外を眺める子はまず
いない。座席には大声で携帯電話を使っている若者もいるのだが、あれ
もお客なのだろうか。

「ああ、あれは恐らくアルバイトの者です。車内が親子連れだけという
のもなんなので、休憩時間にあそこに座って休んでもらえば僅かながら
手当を出しているんです。たまにああいうお客さんもおられますがね。」

 奥のホールでは土日には冠婚葬祭イベントが行われる。ここで子供が
どんな行動をとるのか見てみたい気もするが、残念ながら今日は平日だ。
 ホールの手前にある「マーケット・フリースペース」にも数多くの商
品が並ぶ。中身を抜き詰め物をしたスイカ。パックに入ったゴム製大福。
触感は本物そっくりだ。ほとんどは作り物なのだが、それでもカートに
乗ったまま物を叩く子供たちの歓声が響く。

「見てください。あの子はもう1時間もああやって指で明太子を押して
るんですよ。確か先週もいらしてた親子のように思うのですが。」

 そう、ここはリピーターが多いのも特徴だ。日頃から接している状況
だけに、遊びたいと思うサイクルが短くなるからなのだろうか。もちろ
ん少しずつ新しいアトラクションを増やしているからでもあろうが。

「私どもが気付かないような要望もどんどんきます。その点、新アトラ
クションには困らないほうですね。一番多い要望ですか?やはり障子ふ
すまですかね。もちろん私どもも一番に考えついたのですが、あれはさ
すがに歯止めが利かない(笑)。そのまま並べるわけにはいきませんし
ね。どういう形で公開するか未だに検討中です。」

 リニューアル後は順調に客足を伸ばしている。問題といえば「どうに
も商売にならない」と撤退した、以前からのテナントの回転寿司店への
補償問題くらいだろうか。遠方からの客は望みづらいがその分競合の恐
れも少ない。今後各地に同様の施設が増えてくるのではないだろうか。

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[186] 大リーグ情報 2002/10/04(Fri) 19:21

【ロサンゼルス=3日(共同)】試合中の頭蓋骨骨折から順調な回復
を見せていたドジャースの石井一久投手は現地時間の3日、早くも
フリーバッティングに登場したが、2人目ジョーダンの痛烈な頭突
きで再び頭蓋骨を骨折し入院した。

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[185] 消費者金融で強奪事件 2002/10/04(Fri) 19:20

 4日午前8時半頃、小泉市の消費者金融「武コム」福田支店に男が
押し入り、一人で開店準備中だった支店長に拳銃のようなものを向
け、「自由をよこせ」と要求した。男は自分の体にぐるぐる巻きに
されたロープを支店長に解かせ、そのロープで逆に支店長をぐるぐ
る巻きにし、支店長の自由を奪って軽快な足取りで逃走した。別の
従業員が出勤するまでの間の支店長の自由以外に奪われたものはな
かった。武コムでは最近、別の支店にも頭に熱湯で満たされたタラ
イを載せた男が押し入るなど同様の事件が相次いでおり、県警では
悪質な嫌がらせとみて関連を調べている。

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[184] 地球の歩き方「ニューヨーク編」 和音 2002/10/04(Fri) 19:10 [URL]

 右手にたいまつ、左手に独立宣言書を持っている女性を見かけたら、
あまり近づかないほうが良い。


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[183] フリーラジカル 投了 2002/10/04(Fri) 19:09

「O+」の状態で遊離している酸素イオン。最近発見された。
同様にO2のことを「メオトラジカル」、O3のことを「フリンラジカル」という。

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[182] 車窓から みりん 2002/10/04(Fri) 19:09

A「ゴホゴホゴホ、ケホッ」
B「あの〜、どうぞ」
A「あ、いえ大丈夫です、すみません」
B「でもおかけになった方が…」
A「ゴホン、いえ、もうすぐ降りますので」
B「そうですか?でも少しだけでも」
A「いえいえ、本当に大丈夫ですから、ケホケホッ」
B「でもなんか苦しそうですよ、さあ座ってください」
A「いえ、本当に結構です、ゴホン、ゲホゲホ、ヒューヒュー」
B「ほんっとうに大丈夫ですか? 喉ヒューヒューいってますよ?」
A「大…丈夫です…ヒューヒュー…」
B「全然大丈夫じゃないでしょ、意地張ってないで座りなさいよ」
C「あの、無理矢理座らせることないじゃないですか」
B「なに言ってるんですか、私は心配して言ってるんですよ」
C「でもこんなに断ってらっしゃるのに」
B「苦しいなら座った方が楽に決まってるでしょ」
C「この方がどうしようとこの方の自由じゃないですか」
B「それなら何を言おうと私の自由でしょ、あんたは黙ってなさいよ」
A「…ヒューヒュー…」
C「それは意味が違うでしょう、この方の権利をなんだと思って…」
B「うるさいわね! 何言ってるのか分かんないのよ」
「ちょっとあんたも何とか言いなさいよ」
A「…………………」
B「ちょっとあんた、あんた!」
「ほら、私の言ったとおり大丈夫じゃなかったでしょ!なんか文句あるの?」
C「だからそういう問題じゃないと言ってるんです!」
A「……‥‥・・・」

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[181] Q&A みりん 2002/10/04(Fri) 19:05

       ■□■□ よくあるご質問 Q&A □■□■

Q. 利用時間は自由に選べますか?

A. はい、御自由にお選びいただけます。

Q. 好きなように使っていいんですよね?

A. はい、御自由にお使いいただけます。

Q. 自由自由って言ってるけど本当はいろいろ規制があるんでしょ?

A. いいえ、全て御自由でございます。

Q. 本当の自由なんて幻想でしょ?

A. 幻想・妄想も全てお客様の御自由でございます。

Q. 自由ならいいってもんじゃないよ!私自由なんて嫌い!

A. 申し訳ありません、全て御自由でございます。御自由ではございますが
  ご希望でしたら自由を奪って差し上げることも可能ですので、御自由に
  おっしゃってくださいませ。

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Last modified: 2002/10/04(Fri) 20:07 JST
第25回嘘競演  Uso-Kyoen Vol.25
議長:気楽院 (Kirakuin)
usokyoen@kasugai.com

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