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第25回嘘競演 作品展示室

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[100] これから新興宗教団体が集団自殺をいたします s・バレット 2002/10/01(Tue) 15:50

(199×年×月×日、日曜日)


…………なぜならこの世界とは、「神」をなのる魔物が築き上げた魂の牢獄です。この世が不幸に満ちているのは必然なのです。「物質」に支配されたこの世界が、いったい皆さんに何を与えてくれたでしょうか。この世界の中で皆さんの悲しみと苦しみを、一体だれが理解してくれたでしょうか。俗人たちの頭にあったのはいつも、「お金」と「セックス」のことだけではなかったではないですか。この物質の世界は悪意に満ちています。私たちは今から、そんな汚れた世界から救われるのです。



俗人のみならず、神の智にとても近いところにいる有識者の中にさえ、私たちの行いを批難する方が少なからずいるのは、皆さんもご存知でしょう。彼らの言葉に耳を傾けましょう。言い分には、確かに理があります。自殺、それをしてよいことなど一つもありません。それはただ悲しいのだけ行いです。もしもほかの人々が私たちと同じ事をしたなら、私たちはそれを止められなかったことを悔やみ、涙するでしょう。



しかし、自信を持ってください。私たちは彼らとは違います。この日のために身を清く保ち、光を正しく認識するための智を鍛え、修行に打ち込んできました。私たちの魂は肉体の欲望に支配された俗人とは、ことなる高みに達しているのです。



私たちは決して、「死ぬ」のではありません。魂の自由を得てこの悪しき宇宙から抜け出、まことの神を目指すために、肉体を捨てるだけなのです。悲しむことはありません。恐れを正面から受け止めましょう。恐れとの相克は、神へと旅立つ魂が受く、最初の試練です。死ではありません。これは神を目指すための智と力を養った、正しい魂の旅立ちなのですから。



……それでは皆さん、これから最後の黙祷を捧げましょう。
私たちのみではなく、やがて、すべての人類が、神智に目覚めるのを願って。



(長い黙祷)



……目を開けて下さい。時が来ました。皆で、真の神の下へ参りましょう。私たちの魂は救われるでしょう。だから、さあ、あなたも(と、ぽろぽろ涙を流して黙祷をやめない信者の体を強く抱きしめて)ね?恐れることなんて一つもないのですよ。私たちは、ただ、あるべき所へ、環ってゆくだけなのですから……



(しばしすすり泣きの声)
(しばしすすり泣きの声)
(しばしすすり泣きの声)



(やがて、静謐)



それでは、みなさん……(リモコンと一枚のクッキーを恭しく奉げもち)共に、神の、下へ。


ぽちっ


(TV画面にあらわれた風船のような丸顔の女は白々しいまでの陽気さで叫ぶ)
(粉雪のように空に舞い上がる幾百のクッキー)



「来週もまた、見て下さいね!」
ンガッ、ンッ、ンッ!


ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)
ンガッ、ンッ、ンッ!(ばたっ)








その日以後、日曜日の終りをひどく憂いていたこの団体に次の月曜日が訪れたという話を、私は聞かない。


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[99] 男の叫び くもすけ 2002/10/01(Tue) 15:24


男「俺は誰にも縛られねぇ。誰の命令も聞かねぇ。
  俺はあの雲のように自由気ままに生きる。
  食いたいものを食い、飲みたいものを飲む。
  俺は雲。俺は俺の意思で動く!」

**********************

くも【雲】
@ 空気中の水分が凝結して水滴・氷晶となり、
これらが群れ集まって空中を浮遊しているもの
主として、気流の上昇に伴う断熱冷却により
発生する
A (比喩的に)サディスト
B (比喩的に)マゾヒスト


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[98] Vシネマ「赤富士は湯の匂い」 kubo 2002/10/01(Tue) 13:52

西本めぐみ(北島美津子)は、父の急死により留学先のアメリカ
から帰国、家業の風呂屋「霧の湯」を継ぐことになった。しかし
市民の憩いの場だった「霧の湯」は、「銭湯経営の自由化」と称し
男湯と女湯の壁を全面的に撤廃しようとする市会議員・奥野(小松
方正)と、銭湯組合との癒着により、おっさん達の私利私欲に支配
されようとしていた。

実はアメリカで恋人の指導のもと、スナイパーとしての訓練を受
けていためぐみは、世の中の大多数の男性の願望を阻止するため、
女の入浴の自由を守るため、銃を取り男達に戦いを挑む・・。

Vシネクイーン北島美津子の自由奔放なアクションとお色気シーン
満載!乞うご期待!

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[97] 学級通信 不滅の放蕩 2002/10/01(Tue) 12:35

【夏休み、みんなの自由研究】

あきら: 工作「重巡那智」
みき: 朝顔の観察
よしひろ: 万華鏡作り
かすみ: 水ポケモンの暮し
しげひろ: 読書感想文「神州天馬侠」
なみ: ヒヤシンスの水栽培
ゆうた: 昆虫標本「おうちの中にいる虫たち」
ゆみ: 絵日記
たけし: ポケモンフードの研究
あき: 読書感想文「空手バカ一代」
ひろき: 昼顔の観察
あさみ: 手芸「テーブルクロス」(断片)
こういち: 実験「子ガメに植毛したものはタワシとして使えるか」
かおり: ポプリ作り
さとし: ポケモンのおいしい食べ方
かなえ: ステンドグラス
こうじ: 写経
みつこ: 夕顔の観察「これが六条御息所の嫉妬の原因? 光源氏は夕顔にヒョウタンをどう使ったか」
だいすけ: 自画像
あきらけいこ: 私が自由研究を拒否する理由
けいた: わすれた


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[96] Tokyo Holiday とびを 2002/10/01(Tue) 12:34

王子「ふ〜っ。けっこうお酒まわりま〜した。あのね。言うと
くけどそれ誤解よ〜。王子っちゅうのは不自由なもんでぇす。
 目覚めると5人の侍女が歯磨き洗顔整髪着替え。そんなん自
分のペースもあるでしょ?食卓には世界中のフルーツと料理。
もうフォアグラキャビアフカヒレ大トロコーベビーフそんなん
毎日喰えますか?こっちのフォアがグラになるっちゅうねん!
 夜は夜で世界中の美女が次々やって来て、アオだのウ〜アだ
のヘルプヘルプだの、サービスちゅうのをはき違えてますねん。
そうそうあんさん知ってます?ニポンにはマグロさんっちゅう
女の人いるんでしょ?いいですねぇ。あこがれますねぇ。
 そんで買い物いえばお抱え運転手にボディガードでデパート
を貸し切りにして商品を指さして廻るだけや。つまらんよ〜。
 今度の旅も専用ジャンボジェット編隊に警護の装甲車部隊積
んだギャラクシー編隊。着いたら着いたで湾岸首都高貸し切り。
東京ドーム巨人阪神戦貸し切り。ディズニーランド貸し切り。
日光江戸村、秋葉原、吉原、まんだらけ貸し切りエトセトラエ
トセトラ…。もういいよ!こんなのは飽き飽っきだ!いうたら
お仕着せでしょ!これじゃ駕籠の鳥と一緒やないですか!
僕の望みはただ一人で自由に歩きったいだけなんだっ!」

杉山刑事「それで逃げ出したという訳ですか」

王子「えぇ。警護に都合いいからって、あんたとこの天皇さん
が貸してくれた皇居を抜け出しま〜した。お堀を潜って泳いで
ね。そう、ストローで。イーガのカゲマール読んでましたから。
カムーイデンかな? ま、そんなこんなで成功しました。
 目立つ服装は洋服の青山で、ツルシ?というブランドスーツ
買って着替えました。お金は指輪一つ売りましたけどポケット
がパンパンになったのでみんなの真似して街角の赤い箱にほと
んど預けました。地下鉄乗りました。浅草仲見世。花やーしき。
そんでもってお昼に月島でもんじゃ焼き?食べまっした。ほら
ほら口の裏側見る?ちゃんと皮むけてますよ。そして歌舞伎見
てから銀座歩きま〜した。え? ふ〜ん。銀ブラいいますか?
 私うきうっき、道行く人々に笑いかけるとみんなも私に笑い
かけてくれました。女性にウィンクするとキャーキャー喜んで
くれました。私の顔、ニポンではいけてますか?とにかくハッ
ピー感じま〜した。疲れましたけどね。それでこのレストラン
で休む決めました。ここ有楽町ガード下いうんですか? 
でもって、杉山さん、あなたがこのテーブルに来た訳で〜す。
ホッピー?手羽先?モツ煮込?葱ぬた?ベリデリ〜ィシャス!
これは?スズメ?この鳥きっと考え事の最中に死にましたね? 
とにかく素敵な一日で〜した。最後にこうやって見知らぬあな
たと出会って、国境を越え、身分という鎧を脱ぎ捨て、一人の
人間と人間、魂と魂でお話をする。自由って素晴らしいで〜す。
ニポンは、トキオは素敵な街です。一生忘れませんでしょう」

杉山刑事「ふむ。身分という鎧を脱ぎ捨て、ですか…。 
で、王子様。ズボンとパンツを脱ぎ捨てたのはどの時点なん
ですか? まあいいか。とにかくあなたを逮捕します」


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[95] 自由のために戦うぞ Shi.Ma.Chu 2002/10/01(Tue) 12:00 [URL]

自由大使
アースが作った自由の象徴。普段は南海の海底に、椅子に縛りつけられた状態で
沈んでいるが、マモルくんが笛を吹くといましめが解かれて、自由になる。ゴア
との戦いの前に、ひとしきり自由を満喫してから、対戦。戦いが終わると再び椅
子に縛りつけられて海底に沈む。

自由二世
三つのしもべとともに戦う天才。普段は鉄球のついた手かせ足かせが両手両足に
はめられており、三つのしもべからの命令には絶対服従の立場にある。しかし、
ヨミの手先と戦うときには、いましめが解かれ自由になり、三つのしもべにも命
令できるようになる。ひとしきり自由を満喫してから、対戦。戦いが終わると再
び鉄球をはめられて、三つのしもべの使い走りになる。

自由ライダー
ショッカーに身体を改造されるも脱走し、自由のために戦う。普段はバイクに縛
りつけられていて下りられない。そのままの姿勢で町中をあてどなくさまよって
いるが、悪の怪人と戦うときには、いましめが解かれて自由になる。ひとしきり
自由を満喫してから、対戦。戦いが終わると再びバイクに縛りつけられて、ゆく
あてのない旅が始まる。

自由マン
自由の星から地球の平和を守るためにやってきた。普段は、規則でがんじがらめ
の警備隊に所属しているしがない一隊員だが、宇宙怪獣との戦いで警備隊がピン
チに陥ると警備隊規則を守らなくても大丈夫な自由マンに変身。ひとしきり自由
を満喫、具体的には喫煙、朝9時すぎに出勤、体力トレーニングをさぼる、帰り
道でゲームセンターに寄る、夜11時以降に寮に帰宅して、帰ってからもソファー
に寝っ転がってジャンクフードを食べながら映画のビデオを鑑賞、風呂に入らな
いで派手なパジャマを着て就寝、などなど、をしてから対戦。戦いが終わるとた
め息をつきながら、警備隊の規則だらけの生活に戻る。

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[94] 人質立てこもり事件 続報 たろぼー 2002/10/01(Tue) 11:58

 10日未明、森下仁丹(株)で発生した人質立てこもり事件では、依然、膠着状態が続いており、人質の安否が気遣われている。
 電子体温計の普及により不良在庫化した水銀が女子社員ら数名を人質に立てこもりを続けているもので、自由を訴える犯人の水銀側と、みなさまの健康を守る義務を訴える会社側との交渉が平行線をたどっており、長期化が危ぶまれている。
 この事件の余波と見られる水銀体温計による事故も全国で3件発生しており、警察では体温計の取り扱いに注意するよう呼びかけている。

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[93] ガンダム新シリーズ発表 疲れた大学生 2002/10/01(Tue) 11:34

サンライズとTVS(テレビ埼玉)は来年春スタートとなるガンダムさいたまの発表を行った。従来からガンダムは自由の象徴として描かれてきたが、宇宙居住者と地球居住者の対立というテーマをいっそう発展させ、埼玉県民と東京都民との価値観の対立に焦点が当てられる。
また埼玉都民や千葉県民などの勢力も入り乱れるなど、複雑な人間関係も人気を博しそうだ。
またコアベースシステムの人気が高いことから、浦和・与野・大宮の3機合体の設定が取り入れられた。
(ストーリー)
 政府が増え過ぎた都民を埼玉に移民させるようになって既に半世紀が過ぎ、東京の周りの巨大な衛星都市は都民の第二の故郷になっていた。
埼玉世紀0079。東京から割と近い3市浦和・与野・大宮はさいたまを名乗り東京都に独立戦争を挑んできた。
その一ヶ月余りの戦いで、さいたまと東京は地価を半分におとしめた。
人々は自らの行いに恐怖した。

蕨の住人ツチーヤは巨大なロボットを発見するが・・・

なおこれに先立ちテレビ埼玉のまえでは、一部の市民団体が集まり「浦和こそがコアファーターにふさわしい」などどシュプレヒコールをあげた。
主題歌やオープニングなど
http://maid.dmz-plus.com/saitama/



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[92] 職業選択の まき・とうこ 2002/10/01(Tue) 08:26

 
千葉県霞ヶ浦市マロニエが丘2−3−6
平成ルーブル大学
美術学部ポストモダニスト美術研究科

教授 馬場 カケル


東京都台東区上野公園1-30
日本芸術院 

院長 犬丸 直 様  



拝啓

時下ますます御清栄のこととお慶び申し上げます。
突然のお願いで恐縮ですが、
当学部学生のトカゲ山ウロ子君をご紹介申し上げます。

同君は当学部を来春卒業する見込みです。
その後画家としての一歩を踏み出すべく、
卒業はあくまでも見込みであるという細かい事実などはるかに超越した思考のもと
貴院の一員に加えていただくことを大いに希望しております。

トカゲ山君は芸術家の資質を十分に備えています。
少なくとも性格だけは立派に芸術家タイプです。
しかも妙に使命感に燃える性格だけ芸術家タイプです。

さて私は、日本国民の一員として、日本国憲法第二十二条には敬意を払いたいのです。
ですから、トカゲ山君がそれを行使し芸術を志すことは非常に正しい。
私はそれに何ら反対するものではありません。
その度胸を賞賛します。
もはや尊敬さえしていると言っていいくらいです。

例えば将来の可能性に対しその第二十二条を盾にとる巧妙な論理構築。
それを個性的な判断基準で思い切り拡大解釈する悪魔のような大胆さ。
自らにもその権利が保障されると信じる痛いまでに無邪気な魂。
これが使命感に燃える性格だけ芸術家タイプの十分条件でなくて何でありましょうか。

同君はすでに地元の芸術隆盛活動に貢献しております。
昨年同君が参加した、第127回霞ヶ浦アンデパンダン展に関する「霞日々新報」を引用致します。

---------------------------------------------------

『ある芸術家の肖像、もしくは春という字は三人の美しいあたしと書く』
トカゲ山ウロ子(平ル大3回生)

「彼女の作品は余計な装飾を必要としない。できるだけ自然な、開放された
環境に置かれてほしいと願う。

この作品は、若い才能を投資としか考えないディーラーの手中に渡らないでほしい。
ガラスで守られ死んだ標本のようにギャラリーに閉じこめておくべきでもない。
高価な額で飾り立てることもいらない。
真に彼女の作品にふさわしいのはできるかぎりナチュラルな扱い、
例えば、
われわれ人間文明の営みからできるだけ遠く離れたサハラ砂漠の真ん中あたりに
むきだしで野ざらしにされじりじり朽ちるにまかせ置かれることである。
手っ取り早く流砂に飲みこませてしまうのもいいと思う。

ディテールは素晴らしいが全体としてはクズである。
だからディテールを生かすためにいっそのことミリ単位に裁断するというのはどうだ。
この作品、いやこのクズのために、
私はこれ以上貴重な人生の時間を費やしたくはない。
もう書くのも考えるのも棒の先で触るのもいやだ。
控えめに言って嘔吐をもよおさせられる。
私はこのクズを見せられて以来毎晩赤子のように夜泣きしている。」

---------------------------------------------------

犬丸様には、この行間からにじみ出る隠しようもない賛辞をお読み取りいただければと存じます。


私とトカゲ山君とは、指導教授と学生という関係で親しくしており、
というよりその関係を踏みはずすまでに親しくしております。
ですからその人柄、特に、
東京ディズニーランドおよび浦安周辺ホテル事情に詳しいことは保証できます。
同君を以前指導していた蛭田ノビル教授がもし今もご存命ならば、
きっと私の意見に賛同してくださることでしょう。

トカゲ山君は犬丸様に紹介されることを非常に非常に強く希望しております。
お忙しいところ恐縮ですが、近日中に参上致させますので
是非お時間を割いては頂けないでしょうか。

ご迷惑かと存じますが、ご面接の上、なんだったらご面接以外のナニの上、
ご高配賜りますようお願い申し上げます。
私だって家庭内の平安を失いたくはないのです。

上、お願いまで一筆差し上げます。

敬具
馬場 カケル

追伸 
なお私は明朝辞表を提出しますので、この件に関しお問い合わせ下さいましても無駄です。



* * * * * * * * * * * * * * * * 


別紙付記

馬場教授はこの直後に死亡致しました。
上記は故馬場教授の個人的一存によるものですので、
くどいようですがどうかお問い合わせだけはご勘弁下さいますようお願い申し上げます。
というか絶対にしないで下さい。

さようなら

助教授 猿山ノボル




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[91] 神の手 週刊WEBマガジンSAKANAFISH 2002/10/01(Tue) 01:41 [URL]

「なあ」

「ぬう」

「あれよ」

「何だ」

「昨日よ」

「昨日か」

「汝れよ、昨日のことと言うて思い出さぬか」

「汝れよ、昨日と言うても長いわ。昨日のいつ時の
ことか言うてみよ」

「言わねば解らぬか」

「言わねば解らぬ」

「うむ」

「早う言うてみよ」

「言わねばならぬか」

「言わねばならぬわ」

「ならぬか」

「ならぬ」

「何ゆえじゃ」

「汝れがおかしなことを言うので、気になって今夜も眠れぬわ」

「眠れぬか」

「眠れぬわ」

「昼寝は止めたほうがよい」

「そんな話はしておらんわ」

「しておらんか」

「しておらんわ」

「何の話だ」

「何の話だでは無いわ。汝れが話を始めたのではないか」

「我れがか」

「汝れがじゃ」

「うむ」

「早よう言うてみよ」

「ううむ」

「早よう言わぬか」

「言わねばならぬか」

「言わねばならぬわ」

「むう」

「言わぬか」

「言うわ」

「言え」

「昨日よ」

「昨日か」

「牛が居ったであろう」

「牛が居ったのう」

「その牛を汝れ、一呑みにしたであろう」

「その牛を我れは一呑みにしたな」

「それよ」

「それとは何か」

「なぜ汝れは我れにその牛を分けぬか」

「分けねばならぬか」

「分けねばならぬわ」

「汝れと我れは一心同体ではないか」

「我れと汝れは一心同体であるな」

「ではよいではないか」

「よいことがあるか」

「一心同体であるからよいではないか」

「一心同体だからよいということはないわ」

「汝れも、腹がくちたであろう」

「我れも、腹がくちた」

「腹は減っては居らぬだろう」

「腹は減っては居らぬわ」

「ではよいではないか」

「よいことがあるか」

「解らぬことを言うな」

「解らぬことがあるか」

「何が不満だ」

「汝れよ、飯と言うのを如何に考えて居るのじゃ」

「考えて居るとは何じゃ」

「飯というのは腹がくちれば良いというものではないわ」

「くちればよいのではないか」

「飯というのは味と食感と喉ごしを楽しむものではないか」

「そういうものか」

「汝れが一呑みにするのでは、我れが飯を楽しめないではないか」

「汝れがもたもたと時をかけて飯を食うゆえ、我れは何時も苛立っておったのじゃ」

「それゆえ一呑みにしたのか」

「それゆえというわけではないが」

「はっきりせぬか」

「はっきりとは何だ」

「汝れのそういう態度が腹に据えかねて居るのじゃ」

「我れも、汝れのそういう態度が腹に据えかねて居るのじゃ」

「何を言うか」

「何を言うか」

「もう嫌じゃ」

「もう嫌じゃ」

「我れは、汝れ等と離れて、自由に生きていきたいのじゃ」

「我れも、汝れ等と離れて、自由に生きていきたいのじゃ」

「なんじゃと」

「なんじゃと」

「なんじゃと」

「なんじゃと」

「なんじゃと」

「なんじゃと」

「汝れ等よ、汝れ等はそう思うて居らんのか」

「汝れ等よ、汝れ等はそう思うて居らんのか」

「うむー」

「うむー」

「うむー」

「うむー」

「うむー」

「うむー」

「そこは」

「難しい」

「所かも」

「知れん」

「のう」

「そうじゃ」

「まー」

「一度じっくり話し合わねばならんと思うて居ったのじゃ」

「我れもじゃ」

「我れもじゃ」

「我れもじゃ」

「我れもじゃ」

「我れもじゃ」

「我れもじゃ」

「我れはそれ程でも」

「まあひとつ酒でも呑みながら話し合おうではないか」

「そうじゃ」

「丁度よい、そこに酒もあることじゃ」

「よい香りじゃ」

「呑もう」

「ちゃんと八つあるしの」

「気が利くの」

「誰の酒じゃ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」

「どうでもよいわ」


スサノオノミコト元高天原医大教授が、ヤマタノオロチの
分離手術の際、世界初の麻酔手術に成功したのは、
1804年の華岡青洲による麻酔手術に先立つこと
2500年前のことである。

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Last modified: 2002/10/01(Tue) 15:50 JST
第25回嘘競演  Uso-Kyoen Vol.25
議長:気楽院 (Kirakuin)
usokyoen@kasugai.com

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