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「文字と火−人類が手にしたもの 」
文化住宅人類学研究所 編
人類は文字を焼くことによって文明を生んだ!大増刷!
    霊長類の中でも独自の進化を遂げた人類は、原始には動物を狩り、外敵からの危険にさらされながら暮らしていた。
    これを一変させた大きな要素が火を自由に扱えるようになったこと、そして文字の使用であり、これらが文明を生み出す大きな要素になっている。

    火は外敵からの攻撃から身を守り、獲物を調理し、またその煙が仲間への合図になった。
    言葉を聞き、話すよりも文字は確かなコミュニケーションを生んだ。

    文字と火。これらは一見してお互い何ら関連のないもののように見える。
    だがこの二つの間にも有史以来人類が脈々と受け継いできた不可分なつながりがあるのだ。

    日本の文化とて例外ではない。
    まず我々が思い浮かべるのは京都で盂蘭盆の行事として毎年行われる大文字送り火だろう。
    並べた薪の火で文字を描く、それは人類としてのアイデンティティをも表している。

    大文字焼きともんじゃ焼きが実は起源が同じだということはあまり知られていない。
    東京下町の味もんじゃ焼きは「文字焼き」が訛ったもので、文献によると、相次ぐ戦乱で京は荒廃し人々が飢饉に苦しんでいた折、衣笠山で三間四方の鉄板にわずかな穀物の粉を水で溶き、野草とともに下からの薪の火で薄く焼いて食べたのが起源とされている。

    このとき、木のへらで粉を薄く延ばすさまが大きな文字を描くように見えたのが名前の由来だ。
    これが発祥地では先祖を供養する行事となり、その一方で都が移ってからは戦後の食糧難を支えて今日に至っている。

    アイス・バーの棒に押される「あたり」の焼印。これは獲物を射止める狩猟本能を現代人に呼び起こさせてくれる媒介役だ。

    現代のハイテク社会でも、やはり我々は文字を焼き続けていることを忘れてはならない。
    文字を焼き付けて版下を作る写真植字、そしてコンピューターディスプレイへの文字の焼き付きである。

    人類の伝承を守るために今我々が心がけなくてはならないこと、それはむやみにスクリーンセーバーや省電力設定を使わないことではないだろうか。

    [ NIFTY-SERVE FCOMEDYS嘘競演「字」('99/3)]


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