In The Mind
〜ある多重人格者の精神世界〜
近年、様々な著書やTVドラマなどによって、多重人格というものが一般的に知られるようになった。
一人の人間の中にある複数の心。
しかし、その中の1つが表の世界に出ている時、他の人格達は一体どうしているのだろうか。
この物語は、多重人格者として生きるある男の知られざる心の裏側を描いたものである。
人格1:どやった?この前のボーリング大会。
人格2:ああ、あれ?したよ。優勝。まあ楽勝でしょ。
人格1:流石やなぁ。俺、スポーツとか全然駄目やもんなぁ。
人格2:まあそんな時くらいしか俺出番無いしねー。
あ、そういえば、今度新人入るってホント?
人格1:うん。若い奴らしいで。
人格2:男?
人格1:多分。何かまたボス、女に振られた言うとったから。
人格2:え、またぁ?あれボスの悪い癖だよね〜。振られる度に人増やすの。
人格1:そやな〜。今までそんなんいっぱいおったもんな〜。
あ、ちょっと待って。今ボスからケータイ入ったから。
・・・はい、もしもし。・・・はい、はい、解りました。御苦労様です。
人格2:何だって?
人格1:うん、これからその新人来るらしいで。
人格2:じゃ、面接?
人格1:そやな。君も手伝ってくれへん?
人格2:いいよ。・・・あ、来た。アレじゃない?
人格3:・・・どうも。失礼します。
人格1:座って座って。えーとじゃあ、名前は?
人格3:いえ、特にまだ無いんですけど・・・。
人格1:まあ後で自分で決めたらエエわ。それじゃあ、君は何が出来んの?
人格3:え?何が・・・ですか?いや、特に・・・。
人格1:それはアカンわ〜。
この業界、キャラクター勝負みたいなトコあるから。
何でもエエから特技みたいなもん無いと生き残れへんで。
人格3:そうなんですか?
人格1:例えばな、この人(人格2)なんかは体育界系のキャラで売っとんねん。
人格2:スポーツならおまかせ!
人格1:俺なんかは経理とかしとんねん。まあ裏方仕事やな。
あとは新人教育とか。
人格3:あ、それじゃ宜しく御願いします。
人格1:エエか?うちらはなぁ、産まれた時から大人やねん。
ここがキビシイとこやねんけどもな。
あ、何か最初からビビらすみたいでゴメンね〜。
人格3:いえ、ハイ。大丈夫です。
人格1:まあ最初のうちは解らない事も多いと思うけど。じゃ、何か質問とかある?
人格3:・・・そうッスねぇ、ここには大体何人くらいいるんスか?
人格1:う〜ん、それなぁ、たぶん、10人くらい?
人格2:いや、もっといるって。
人格1:そうかなぁ。じゃあ15、6人ってとこ?
人格3:・・・結構多いんスね。
人格1:何かな、俺にも見た事無い奴とかいるから、はっきりとは解らへんねんけどな。
入れ替わりとか激しいし。
人格2:俺等以外はもう誰か会ったの?
人格3:いえ、あとはボスだけです。
人格1:色んなんおるからな〜。あ、そや。アイツには気ィ付けた方がエエわ。
あのな・・・。
人格2:明美だろ?
人格3:女ッスか?
人格1:そうやねん。ボスの理想の女らしいねんけどな。
ただちょっと裏表あんねん。
人格2:あ、それで思い出したけどさー、
この前街でからまれたとかいって
俺が呼び出された時あったじゃん?
人格1:あったあった。
人格2:あん時明美の後でさ〜、女装してんだよー、俺。
スッゲー恥ずかしかったよ。
人格1:そんなん俺もあったわ。アレはキツいよな〜。
人格2:ブラ付けるのだけは勘弁して欲しいわ。
人格3:あの・・・そういえばさっき、時代劇みたいな格好の人と擦れ違ったんスけど、
あれは誰ッスか?
人格1:あ、アレ?アレは信長。
人格2:え?まだいんの?俺もう消えたと思ってた。
人格1:いるいる。この前も暴れて大変だったねんで。
人格2:あいつの後もキツいよな〜。刀とか持ってるし。
人格3:信長って、あの信長ですか?
人格1:そやで。織田信長。ボスがめちゃ好きやねん。
人格2:憧れの人物とか結構いるよねー。
前なんか三国志に凝っててさー、軍師とかいたじゃん。
人格1:あー、いたな〜!そんな奴!何トカ言ワクとか言うの。
人格2:でもあいつの中国語、中国人に通じてなかったでしょ。
人格1:しかもめっちゃ消えんの速かったよな〜。3日くらい?
人格2:うん、最短記録じゃん?今までで。
人格1:最近だと何だっけ?「踊る大捜査線」?
人格2:アレは無いよなー。俺、ちょっとキレたもん。
人格3:何の事ッスか?
人格1:いや、一時期湾岸署員勢揃いしとってん。一人湾岸署。
人格2:現実とドラマの区別がついてないんだよねー。思い込み激しいし。
まあ俺等の存在なんてそれで成り立ってる様なもんなんだけどね。
人格1:あの時さあ、前からいた奴等がかなりいなくなったよなぁ。
人格2:もういっぱいいっぱいだったじゃん。俺も消えかかってたもん。
人格1:事件は会議室で起ってるんだ ッ!みたいな。
人格2:マジでそーだよな〜。あんなの初めてじゃない?
人格3:それで、どうなったんスか?
人格1:1週間くらい?で納まったよな。流石に疲れたらしいで。
人格2:身体が追い付かないっしょ。スリーアミーゴスまでいんだもん。
人格1:あ、そういえばさぁ、ハカセの話聞いた?
人格2:え?何それ。知らない。
人格1:その湾岸署の事とかでアイツめちゃめちゃ怒ってな。
今度俺がボスんなる言うとんねん。
人格2:え、マジでマジで?あーでも何か解る気するわー。
人格1:前からそんなトコあったもんなぁ。
人格3:どんな人なんスか?
人格1:まー簡単に言えば頭のキレる奴やねん。大学行けたんも殆どアイツのお陰やし。
人格2:実際今一番力あるもんな。
人格1:そんで最近振られた女ってのもな、もともとハカセが付き合い始めた女やねん。
それなんにいっつもボスばっかり出ていきおってん。
人格2:あー、そーれーはー怒るわー。
人格1:で、別れ際に言われた台詞が「貴方最近変わったわ」やって。
人格2:あはははは!そりゃそうだって。ホントに変わってんだもん。
人格1:でさあ、お前どっちに付く?ボス派かハカセ派か。
人格2:んー。俺もボスとは付き合い長いけどさー、最近ちょっとアレだしな〜。
人格1:じゃハカセ派?
人格2:んー、暫く様子見るわ。あんまりハカセとも仲良くないんだよねー。
人格1:そういえばそやったなー。でも俺の予想だとたぶん、ハカセが勝つと思うで。
やっぱアイツ仕事とか出来んもん。ボスも今かなり落ち込んでるし。
人格2:じゃあハカセ派?
人格1:イヤ、様子見やな〜。
でもアイツがボスんなったら、ここのシステムも結構変わってくると思うで。
人格2:やだなー、俺、リストラとかされたらどーすっかな〜。
人格1:まあ不景気やからなぁ〜。これから大変やで〜。
君(人格3)もはよキャラ作っていかんとな。
人格3:あ、ハイ、そうッスね。
人格1:何か最初からイヤな話ばかりでゴメンね〜。
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