〜ネパール編〜
第一話
始まりの地、到着の巻
第一の都市カトマンドゥ
シンガポールからの飛行機は、なぜかビジネスクラスでウキウキ気分。
トイレへ行くついでに、狭いエコノミーにひしめく庶民達を覗くとさらにウキウキ。
徹夜でのポケモン略して徹ポケに、疲れた体を休めるには最高である。
ケンタロスが捕まらず腹を立てていたが、今では
「幸先のいいスタートだぜい、ばふー」
と、精神状態は良好。
流石は航空会社人気No1、シンガポール航空。機内食も旨い。
腹が減っているのでばくばく喰う。
言うことの無いフライトの後、我が便SQ−414は昼を少し過ぎた頃、
最初の地ネパールへと降り立った。
ネパールの4月はかなり暑い。
5、6月が最も暑い乾期で、7、8月は雨の多い雨期となる。
しかし、空気が乾燥している為、不快さはそれほど無い。
空港で換金をした後、入国審査を受ける。すでに日本でビザを取っていた為、
面倒臭いことは何も無い。
ここで直接取った方が本当は安く済むのだが。
外へ出て、最初に目に入ったのは・・・
というか、嫌でも目に入る。それは、
ズラ ッ
と道路沿いに並ぶ、ホテルの客引きの群れ。
それぞれのホテルの名前入りボードを持ち、
「ニッポンジ〜ン」「チープホテル?」「ベリーグッド」
などを連発。瞬く間に囲まれる。
奴等の客を捕まえるのに必死の様子に、
俺様ちょっとビビってしまい、少し離れた場所へ逃げる様に移動。
これがネパール式歓迎かい・・・イカスぜ!!
と、その時思ったかどうかは忘れたが、町の中心まではかなり遠そうなので、
何とかしなければならぬ。
そうこうしてると、同じ飛行機に乗っていたらしき、日本人の2人組を視界内に確認。
とりあえず声をかけてみる。
「あの・・・どうなんすか?」
何を言ってんだ俺は!?
どうやら精神的動揺は、自分が思っている以上の模様。
しかし、それは彼等も同じだったらしく、
ナイーヴな俺の心情は、容易く理解出来たらしい。
しかし、彼等は既にホテルを予約しているとの事。
日本で予約出来るホテルということは、ある程度高級感溢るるトコだろう、
という予測の元に、彼等とは別れることにする。
そろそろ覚悟を決めっか・・・
いよいよ、客引きの一人に敢えて捕まることに決定。
腰が結構痛かったので、自分で宿を探すのが面倒というのもあった。
溢れる客引きの中から何となく、且つ適当に一人選び、
値段と場所を聞き、ついていく。
その間も他の連中は、しつこい程に群がってくる。
そして、客引きの用意した車に乗り込むのだが、これが結構ドキドキもんである。
初めてやって来た異国の土地で、見知らぬ男の車に乗って行くのだから、
当然なのだが。
運転手の親父が日本のコインをくれと言うので、10円くれてやる。
着いたのは、カトマンドゥの有名なバックパッカー街、タメル地区にあるホテルで、
一泊10ドルと、バックパッカーには高めのところだった。
が、オーナーが日本語ペラペラなのと、
他を探す面倒さとで、そこに泊ることにする。
部屋もわりと奇麗なので、最初くらいはこの位でいいかもしれない、とも思う。
重い荷物を置いて、早速街へ繰り出すと、
そこには日本にはありえない、いろんなモノが溢れている。
キツい土埃、香辛料の臭い、動物の臭い、排泄物の臭い、
野良犬、野良牛、蠅、乞食、リクシャー、闇両替屋、ドラッグ売り、などなど。
感想「エラいとこ来てもうた・・・」
そう思うまで、さほど時間かからず。
道がかなり入り組んでいるので、迷わない様にしつつ、暫く街を散策。
夕飯を喰いホテルに帰ると、やたら暗い。どうやら停電のようだ。
なんでも、一定周期で地区毎に、停電を受け持つ時間帯が振り分けられているらしい。
やはり、エラいところのようである。
暗い部屋で、一時間程電力の回復を待つ。初日にして俺様、
寂しさ充填完了。
大丈夫か、ホントに。
翌日。ホテルで自転車を借り、朝からカトマンドゥ市内観光へ。
古い建造物の立ち並ぶ広場や、寺院などを巡って回る。
ネパールを最初の地として選んだ理由の一つとしては、
カトマンドゥという都市に対する期待が、漠然とあったからだ。
半年前のイタリア旅行では、ローマやフィレンツェの町並は、
強く心に響く物があった。
しかし、期待していたその時の様な興奮をここでは感じず、
何かが違う、と思い始めていた。
何故なのか。理由は簡単だった。
建造物を見るのが結構好きなのだが、ここの寺院や王宮のデザインは、なんか
「格好悪い」と思うのだ。
いま一つピンと来るものが無い。
よく見掛ける「眼」のマーク、あれなどダサダサである。
まあ個人的見解でしか無いわけだが、これは仕方が無い。
そうなると、わざわざビザ代払ってこの狭い国に来た意味は?
という問題になってくる。
・・・やるしかないのか、アレを・・・
ネパールにに来る旅行者の半数がすると言われる、観光のクライマックス。それが
「トレッキング」だ。高度5000m以下の、山登りのことである。
先の長い旅の為、やるかどうか迷っていたのだが、ここにきて心は決まった。
しかしトレッキングルートを通る為には、
許可証(パーミット)を入手しなくてはならない。
一人で行くのなら、道に迷ったり、山賊に襲われたり(いやマジで)しないために、
ガイドを雇う必要もある。
とりあえず、旅行代理店へ行って、ルートを選択。
ホテルで聞いたその代理店は、日本語を話せるスタッフがいて、
事はスムーズに進んだ。
やるならトコトンやったる!と、非常にイカす姿勢で俺様が決めたルートは、
「アンナプルナ内院10日間」
最高で高度4000mを超えるハードコース。・・・大丈夫か?
ただし無理そうなら、途中でのルート変更も出来るので、割と気楽ではあった。
許可証の手配と、基点の町となるポカラへのバスチケットも同時に予約。
ガイドはラムという現地人で、英語を喋れるが日本語は駄目。
それらと、10日間の食事代、宿代全てを含んだ費用が200ドル。
ただし飲み物だけは別料金となる。
明日、ガイドのラムとトレッキングシューズを買いに行く約束をし、
本日の行動は終了。
「旅の肩慣らしには丁度いいぜ」などと意気込むが、
山をなめたらアカン
ということを、あれほどまでに味わうことになろうとは
その時、知る由も無かった・・・。