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銘菓のこんな使用法
    「最近物わかりのいいふりをしてお前ら若いのに媚び売る大人が多いが、俺は違うぞ。
    勘違いをしてつけ上がるんじゃねぇ。調子に乗るな、コラ!」
    人事課長はまず一喝した。
    研修室に集められた新入社員は、一体何が始まるのかと固唾を飲んでいる。
    その間に女子社員によって目の前のテーブルの上に配られたものを見て、困惑の色はさらに増していった。

    「一口だけ食べろ」
    この適性検査は、従来のような設問にマークシート等で解答していくやり方とは全く異なっていた。
    銘菓「ひよ子」の食べ方で今後の運命が決まるのだ。

    むせながらも一口でまるごと食べた者にはエクストラポイントが付いた。
    どんな食べ方も採点対象になっているが、点数や採点法は受験者には知らされない。
    かじった場所や歯形から5つの類型に分けられ、これを参考に配属先が決められる。
    冒頭の一喝も、精神状態に影響を与えた条件下でテストを行うことが目的だ。
     

    セルビア共和国コソボ自治州。アルバニア人によるKLA(コソボ解放軍)は共和国特別警察隊によって制圧寸前となり、ゲリラによる局地戦へと移っていった。
    同じイスラムとしてKLAに参加する義勇兵、アフガニスタンからのムジャヒディンの中に奇妙なペンダントをした兵士がいた。
    話を聞くと、かつて旧ソ連を相手に戦っていた少年の頃、一人のアメリカ人が捕虜になった昔の上官を救うため拠点を訪れ、 やがてソ連軍との壮絶な戦いに勝利し、救出に成功した際にもらったものだという。

    アメリカ人はかつてその上官のもとで厳しい訓練を受け、ベトナム戦争で特殊な任務に就いていた。
    その特殊部隊を選抜する方法の一つが第二次大戦中に日本の陸軍が考え出したという銘菓ひよ子の食べ方テストで、合格した者にはアメリカ軍からひよこのIDペンダントが贈られ、ベレー帽が支給される習わしになっていた。

    一緒に戦った勇敢でストイックなそのアメリカ人から、別れ際自分になぜそれが手渡されたのかはわからないが、 それを見たかつての上官が「お前にそんな心があったとはな」と驚いていたのを覚えているという。

    (10000hit記念嘘「ひよこ」)


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