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「町工場職人図鑑 」
古関 智広著
ハイテク時代の今も生き続ける"職人技"を訪ねて

    胎盤工、という職業をご存知だろうか。

    「この界隈で不景気の影響を受けてねえってのは居ねえな」
    高山利治(68)
    中学を出て工場に就職し以来50余年、彼は今も現役を続ける熟練胎盤工だ。
    戦前戦中の殖産政策、戦後の混乱、そして高度成長を機械や製品を通じ見詰め続けてきた。

    胎盤を操作してその回転する刃で胎児を削り出す、それが胎盤工である。
    インタビューの間にも高山は一体の胎児を完成させていた。
    それはもはや「作品」と呼ぶにふさわしく、操作という人間の技が加わることにより
    彼によって魂が込められているようにも見える。

    しかし彼のような胎盤工は今や貴重な存在になってしまった。
    「今みんなNC自動胎盤だろ」
    それでも昔馴染みの産婦人科医は彼以外に仕事を依頼しようとはしないという。

    「自動じゃとてもトシさんとこみてえな味のある顔は出来ねえってよ」
    そう言って目を細める高山の作品からは、銀幕を彩ったスター達を数多く輩出した。
    いま日本人の顔が平均的に良くなってきているが個性に乏しいのは、その辺に理由がありそうだ。

    [嘘屋本舗嘘つき特訓 地獄の7日間「出産」]


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